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ハリルの言い訳を粉砕。鹿島・
土居聖真は日本代表の「切り札」になる (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 鹿島はJリーグのクラブには珍しく、両サイドハーフが明確に開いて構える布陣だ。その両サイドと、最近みるみるキープ力が増してきた金崎との間にできる広いスペースを、土居は縦横無尽に駆け巡る。そして、各所でボールに積極的に絡むのだが、絡み方に1回1回、間違いがないので、絡んだ各所でいいリズムが発生する。その結果、チーム全体のノリは俄然よくなる。

 ゲーム勘に優れたポップでセンスあふれるアタッカーなのだ。

 昔に比べ、日本選手の技術は大幅に上がった。しかし、センスはどうなのか。追求を怠(おこた)ってきた案件だと思う。そこに問題意識が働いている様子は見られない。土居のプレーを見ていると、改めてそう思う。古くは、水沼貴史さんがその代表格だったが、その系譜は途切れてしまった気がする。

 それだけに、貴重な存在だ。大袈裟に言えば、ふたりといないタイプ。そのうえ、相手ボールに転じれば、反応よく追いかける圧倒的な真面目さもある。

 さらに言えば、左右のサイドハーフをこなすこともできる。こうしたユーティリティーな選手がひとりいると、メンバー交代は円滑になる。

 W杯最終予選の対オーストラリア戦(1-1。2016年10月11日/メルボルン)で、最初の選手交代が行なわれたのは後半37分。ハリルホジッチの決断が遅いというより、1トップ下しかできない香川の非ユーティリティー性に原因がある、とはこちらの見立てだが、土居を軸に回転する鹿島・石井正忠監督の采配を見せられると、ついハリルジャパンにない物ねだりをしたくなる。

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