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決め切るFWと守り切るGK。
青森山田を初優勝に導いた2人のヒーロー (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 卒業後は仙台大学に進学するという鳴海は、「プロを目指してやっていきたい。インカレで得点王を取りたいですね」と次なる目標を掲げる。強気の発言も決して大言に聞こえないのは、この大会で示した確かなパフォーマンスがあるからに他ならない。

 一方、「守」の主役となったのはGKの廣末陸。名門高で1年生からレギュラーを務める絶対的守護神は、この試合でも圧巻のパフォーマンスを披露した。

 やや押し込まれていた前半立ち上がりは、本人も認めるように「雰囲気にのまれていた」かもしれない。それでも16分には、相手FWとの1対1の場面を確実にストップ。「相手はあまりGKを見ていなかったので、なるべく寄せて、しっかり構えて反応すれば止められるかな」という冷静な判断で、絶体絶命のピンチを救った。

 鋭い反応だけでなく、果敢な飛び出しや空中戦の対応など、世代ナンバーワンGKとしての実力をいかんなく発揮した廣末だが、もっともインパクトを放ったのは、やはりそのキックだろう。鳴海のふたつのゴールを演出した正確かつ強烈なフィードは、もはや高校レベルを超越していた。

 とりわけ驚かされたのは、状況に応じてキックの質を変えられる点。この日はロングキックを蹴っても味方のFWが競り負ける状況が多いと判断すると、「先に触れるように低いボールでFWを狙った」と修正。ピンポイントで味方に合わせることで、3点目と4点目の起点となった。

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