青森山田に悲願の初優勝をもたらした「プレミア6年間」の経験値 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

「立ち上がりから簡単なゲームではなかったが、決めるところを決めたかどうか(が勝負を分けた)という展開だった」

 青森山田の黒田剛監督はそう振り返ったが、まさに言葉どおりの試合となった。

 いとも簡単にゴールを決め、優勝をさらっていった青森山田。しかし、これが「悲願の初優勝」(黒田監督)だったことは間違いない。

 過去、青森山田が優勝候補と目されて選手権に臨んだことは、一度や二度ではない。それでも、なかなか頂点には手が届かなかった。黒田監督が振り返る。

「3回戦の"壁"があり、9回くらいベスト16で負けている。これだけやってきてなぜ? と悩むこともあった」

 もちろん、絶対に優勝できる方法などこの世に存在するはずがない。そんなものがあるのなら誰でも同じことを取り入れる。だからこそ、青森山田は苦労してきた。

 だが、"絶対に優勝できる"のは不可能だとしも、"優勝する可能性を高める"ことならできる。黒田監督は今大会中、青森山田の強みとして「経験」や「経験値」といった言葉をよく口にしていたが、それは青森山田が長年、優勝する可能性を高めるなかで蓄えてきたものだ。

 黒田監督は、「プレミアリーグを6年間経験してきたが、ポゼッションだけでも勝てないし、カウンターだけでも勝てない。すべてができないとダメ」と話していたが、青森山田の経験値にはプレミアリーグ、すなわち、高円宮杯U-18プレミアリーグEASTの存在が大きく影響しているのは、確かだろう。

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