ツエーゲン金沢の選手御用達。
お店の願いは「加賀の野菜で走り回って」 (4ページ目)
お昼時の店は、お客さんの流れが途切れない。しかし厨房の人数は限られ、年配の女性ばかり。おばちゃんが「さばき切れない」と判断すると、大勢で来たお客さんをお断りする。なにより、食事中のお客さんにくつろいでほしいという一心で。商売を考えたら、合理的ではない。もっと採算がとれる方法はあるのだろう。でもおそらく、その非合理性で優しさの濃度が増すのだ。
選手が「嫁もろうたよ」と連絡を寄こす。おばちゃんは菩薩のような丸っこい笑みを浮かべ、祝福する。
「またスタートやな」
人生に始まりと終わりがあるのを知っているから、その一瞬でも関わった「息子」たちを想って、励まし、見守り続けるのだ。
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