佐野日大、あっぱれベスト4。前橋育英は「史上最悪の代」で初戴冠へ

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 前橋育英(群馬県)と佐野日大(栃木県)の準決勝は、おおむね予想どおりの戦いとなった。

 攻める前橋育英、守る佐野日大の構図は、立ち上がりからはっきりと打ち出される。ほとんどハーフコートマッチといった様相で、黄色と黒のストライプが、桃色のユニフォームを自陣へ釘づけにした。

前橋育英は高沢颯のゴールで佐野日大の堅守をこじ開けた前橋育英は高沢颯のゴールで佐野日大の堅守をこじ開けた もっとも試合の流れは、佐野日大のほうにあった。5バックで自陣を固める戦略は、彼らの真骨頂。攻め込まれながらも最後の場面をやらせない守備で、前橋育英に決定機だけは与えなかった。「しっかり守って、相手を焦らせて、そこで隙を突くのがいつものやり方。相手がイライラしてきたらチャンス」。キャプテンのDF福田一成(3年)が語っていたように、佐野日大は後方を確実にケアしつつ、虎視眈々と相手の隙をうかがっていた。

 そして迎えた28分、佐野日大にこの日最大のチャンスが訪れる。全体を押し上げて前線に人数が揃うと、ボランチのMF小林拓海(3年)のシュート気味の縦パスが10番を背負うFW長崎達也(3年)のもとへ。巧みなトラップから前を向いた長崎の強烈なシュートが前橋育英ゴールを襲ったが、これはGK月田啓(3年)の好セーブに阻まれてしまう。

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