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ツエーゲン金沢の選手御用達。
お店の願いは「加賀の野菜で走り回って」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

「大杉のおばちゃんへ」

 筆跡は親密で、温かい。

「ここに来る子はみんないい子。息子同然やから」

 おばちゃんは言う。がつがつと男らしく食べる子、栄養を考えてよく噛んで食べる子、マイオリーブオイルを店に置いてある子。いろんな性格の息子たちに、おばちゃんは分け隔てなく愛情を注いできた。

野菜がたっぷりの「日替わり定食野菜がたっぷりの「日替わり定食 選手たちも、おばちゃんを信頼しているのだろう。なんでも相談する。うまくいかないことに悶々としていると、「人生やな」とぴしゃりと相槌を打たれ、少しだけ救われる。食堂はセラピーでもあるのかもしれない。

 Jリーグの地方クラブには、選手たちが自然と集うお店が必ずいくつかある。気安く足を運び、なんでも愚痴をこぼす。そうした食堂の存在が、明日の見えない選手たちの負担をどれだけ軽くしているか。シュートがポストに当たって、中に入るか、外に外れるか、それで人生の行方が決まる日々。その不安を受け止めてきた貢献度は、スプリント数や走行距離のように、数字にすることはできない。

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