レアルを追いつめた鹿島。クラブW杯準優勝の真価はACLで問われる (4ページ目)

  • 浅田真樹●文text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影photo by Sano Miki


 とはいえ、だ。

 鹿島の健闘をたたえるのは、このくらいにしておきたい。というのも、今大会の鹿島は、そもそも開催国枠という特権を利用した出場にすぎないからだ。

 クラブワールドカップには、6つの大陸連盟(ヨーロッパ、南米、北中米カリブ、アフリカ、オセアニア、アジア)が主催する、それぞれの大会を勝ち抜いた大陸王者が出場できる。日本のクラブでいえば、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)で優勝することが出場条件だ。

 しかし、当初は6チームで争われた大会も、開催国のクラブが出場していないと盛り上がりに欠けることから、2007年大会からは開催国枠が新設された。

 本来なら違う国への遠征を重ね、慣れないアウェーの地で多くの試合をこなして、ようやく勝ち取れる出場権。それが、国内リーグを制しただけで手にできるようになったのだ。これはJクラブにとって、おいしいボーナスである。

 しかも、クラブワールドカップに出てしまえば、ノーリスク・ハイリターン。さすがに1回戦でオセアニア王者に負けては体裁が悪いが、そこから先は「よく分からないが、強いかもしれない」未知なる相手との対戦となる。勝って称えられることはあっても、負けたところで批判されることもない。


 本家のワールドカップに出場する日本代表とは雲泥の差。さしたるプレッシャーもなく、ホーム(日本)で戦えるアドバンテージまである。それでいてオセアニア王者に勝ちさえすれば、最低でも今大会で言えば1億円超(100万ドル)の賞金を手にできるのだ。こんなにおいしい話はない。

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