目もうつろ。J3転落の大分トリニータがはまった「弱者の法則」 (4ページ目)
「後半失速、今季を象徴」と、翌日の地元紙は糾弾していたが、敗北の連鎖を払拭する手立てはなかったのか?
「地元の支援体制が足りなかった」という声がある。県民、企業、行政の三位一体で創立されたクラブだけに、大きな風呂敷に敗因を求める気持ちは分からないではない。しかし、そこまで話を飛躍すべきではないだろう。そんな論理なら、いくらでも成り立つからだ。
例えばこの日、4万人収容ドームに1万5000人近い観客が訪れたが、半分以上は空席だった。歪(いびつ)に箱が大きく、トラックはプレーと観客を乖離(かいり)させていた。誤解を恐れずに言えば、観客がプレーとコミットできていない。記者席近くに座った控え選手たちは、エリア内での町田の疑わしいハンドに何度か机を叩いて怒り、味方が敵と入れ替わるようにパスを受けたシーンに喝采を送ったが、スタンドからは応援歌しか聞こえなかった。
しかし、スタジアムやファンの意識に敗因を求めるのは酷だろう。
大分が入れ替え戦にまわり、町田に完敗したのは、もっと単純な理由だ。忍び寄った負けの連鎖に、彼らは搦(から)め取られた。強化部長のチームデザインが悪く、次期監督を見つけられなくても、J3に降格する戦力ではなかったのである。
「勝てないことが弱さ」
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