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目もうつろ。J3転落の大分トリニータがはまった「弱者の法則」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki  日刊スポーツ/アフロ●写真 photo by Nikkan Sport/AFLO

 横にいた広報が質問を打ち切るようにして会見が終わると、解放された為田は記者たちを振り払うようにバスの方へ去っていった。

 勝てないことが弱さ。

 その答えにならない答えに、大分転落の理由は説明されていたのかもしれない――。

 大分は08年にナビスコカップ優勝、J1で優勝争いをしたクラブであり、2013年もJ1に所属していた。今シーズン、人件費は3億3000万円とJ2では中位以上(2012年に6億円の借入金を返済)。「J2優勝」を掲げての開幕は、戦力的に絵空事ではなかった。CBのダニエルは足下のプレーは衰えたものの、高さと強さはJ1でも十分に通用する。ユースからの生え抜き選手も多く、J2では厚い選手層で地力はあるはずだった。

「なんで大分がこんな順位にいるのか不思議」。対戦相手たちの話を聞いても、そういう感想が多かった。実際、押し込んだ試合も少なくない。

 しかし、大分は際どい勝負でことごとく敗れた。

 第16節終了時点で最下位に転落。田坂和昭監督が解任され、強化・育成部長の柳田伸明が監督代行を経て監督に就任した。リスクを避けて裏に蹴り込み、そこに起点を作る、という戦術は監督が代わっても同様だったが、プレスの強度でてこ入れがあり、わずかに上向いている。もっとも要所で得点を決めきれず、逆襲に遭い失点という試合の繰り返しだった。敗北は心を倦(う)ませ、自信や確信を蝕(むしば)んだ。

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