目もうつろ。J3転落の大分トリニータがはまった「弱者の法則」 (3ページ目)
いわば、弱者の法則に入ってしまった。
それが顕著に出たのが、入れ替え戦の第1戦だろう。長いボールひとつをとっても、意図して攻撃を仕掛けるよりも失うことに怯えた逃げの一手で、腰が引けていた。心の迷いに溺れるようにファウルを連発し、退場者を出して9人に。自滅に近かった。
第2戦は、“勝つしかない”という気持ちがポジティブなプレーを呼び、前半は優位に立っている。一番パーソナリティを感じさせたのは、ブラジル人FWのエヴァンドロだろう。積極的にラインを破り、スペースを疾走。右サイドに出たロングボールに追いつき、ファーで待つ高松大樹にピンポイントで合わせたクロスは秀抜だったが、シュートはGKの正面だった。
大分はサイドを中心に何度も崩し、前半35分にはエリア内のドリブル突破で反則を受け、PKを得ている。しかし高松のキックは完全に読まれ、ボールははじき出されてしまう。このとき、試合が大きく旋回した。
「前半通り、つないで幅を使い、ゴールを狙っていこう」
ハーフタイム、大分の選手たちは戦い方を確認しあったというが、弱気の虫は蠢(うごめ)き始めていた。体力的にも前半の攻撃で大きなエネルギーを使い、切っ先が鈍った。勢いを失い、カウンターを浴びると、後半58分に与えたPKを決められてしまう。その後は攻撃も散発で、力尽きて敗れた。
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