佐藤寿人、通算157ゴールで育んだ「ストライカーの矜持」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei  佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「あの人はアップから100パーセントで取り組んでいた。あの姿を見ていると、自分がどれだけ甘かったかと痛感させられました。しっかりと準備すればチャンスを引き出せるし、結果を出せる。それを眞中さんに教えられました」

 1年間だけ在籍したセレッソでは、結果的に2得点しか挙げられなかったものの、「仮に当時に戻ったとしても、迷うことなくセレッソ行きを決断します」と言い切るほど、セレッソへの移籍は佐藤にとっての大きな分岐点となった。

 157得点のなかには数々の印象深いゴールが散りばめられているが、なかでもリーグ連覇を達成した2013年のサガン鳥栖戦で決めたボレーシュートは、もっとも鮮やかなゴールのひとつに数えられるだろう。高萩洋次郎のロングフィードに抜け出し、ボールの落ち際をエリア外からダイレクトでインパクト。相手GKをあざ笑うかのような強烈なドライブシュートは、まさに見るものの度肝を抜く衝撃的な一撃だった。

 これとほぼ同じようなシーンを、佐藤は子どものころ、テレビで目撃している。中山雅史とともに憧れの人として名前を挙げる、三浦知良が日本代表で決めたゴールである。

「カズさんが1993年のタイ戦で決めたシュートを見て、カッコ良いなと思って。シュートもすごかったですけど、打つ前にバウンドしたボールに細かいステップで合わせる動きも含めて、すべてがカッコ良かった。子どものころは、あのシュートばかり練習していましたよ」

 子どものころの練習の成果が、20年後のプロのピッチで体現されたのだ。

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