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豊田陽平インタビュー「今季の鳥栖は甘えが出ている」 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 豊田が森重、高橋という東京のストロングヘッダー二人を潰し、空いた空間に走り込んだ金民友はフリーで右からのボールに合わせた。

 試合中に習得した豊田のしたたかさは、敵をとことん苦しめる。ポストワークでも、一度ボールを収めて展開を広げるのだが、たとえ成功しなくても相手のファウルを奪い、苦しい味方に一息つかせる。そしてボールを自陣から出せないほどの劣勢と見るや、積極的に中盤に落ちて体を張る。犠牲的精神の一言では片付けられない、数字に顕在化しない貢献度の高さである。

 一方、今シーズンも豊田はJ1で2位の12得点を記録している。得点王に輝いたJ2時代を含めて6年連続二桁得点を悠々と達成。なぜチームプレイを怠らず、ゴールという数字もたたき出せるのか?

「やっぱり、メンタルやと思いますね」と豊田は言う。

「ゴールというのは不思議なもんで、調子がいいから絶対に決められるというものではないんです。心の持ちようや感情、それに運が必要。どうも思い通りにはなりません。ただ僕はキャリアを積み上げてくる中、自分のするべきことが分かってきたというか。一瞬に必要な集中力、決断力をどう出せるか。それは結局、メンタルの部分なんです。若いときの方が選択肢は多かったかもしれませんが、無駄で効率の悪い選択肢もたくさんあって、それをそぎ落とす作業をしてきました。例えば10の選択肢を、3つ、4つの有力な選択肢にしているから、大事な場面で精神的余裕が生まれているのかもしれません」

 食べ終えたお膳を横にどけた彼は、食後のアイスコーヒーを頼んでからこう続けた。

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