なぜハリルホジッチ監督は槙野智章を重用するのか? (2ページ目)
槙野はこれまでのCBと異なるタイプで、優れたスピードがある。ここで言うスピードは、FWに裏のスペースを取られた時に対応できるスピード、インターセプトするために相手の前に出るスピード、ボールを前線に運ぶためのスピードだ。
ほとんどの日本人CBは、守備時に抜かれないことを前提にしてボールホルダーとの間合いを取る。CBが抜かれると即シュートにつながるため、足を出してボールを奪うチャレンジも少ない。相手の攻撃を遅らせて味方のサポートを待ち、数的優位を作って守ることが多いが、見方を変えれば、これは相手のミス待ちの消極的な守備でもある。
槙野の守備スタイルはこれとは異なる。槙野は、持ち前のスピードと身体能力の高さを生かして積極的にボールを奪いに行く。相手FWに入るパスのインターセプトを狙い、果敢に足を出す。そして、ひとたびボールを奪うと、そのスピードを生かして攻撃に勢いを生み出す。これこそが、ハリルホジッチ監督が槙野をCBで起用する理由だろう。
槙野のようにボール奪取して縦に攻撃に転じるのと、奪ってから一度自陣にパスを下げるのでは大きな違いがある。だからこそ、縦に速いサッカーを掲げるハリルホジッチ監督は、縦への推進力を生みだせる槙野を起用したのだ。
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