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ジュビロを激変させた指揮官・名波浩の「メッセージ」 (2ページ目)

  • 望月文夫●文 text by Mochizuki Fumio
  • photo by Nikkan sports

 そして迎えた愛媛FC戦。試合前のミーティングで名波監督は、緻密な戦略や戦術を駆使して『戦う』という文字にバッテンをして、新たに『闘う』と記して選手たちを鼓舞した。その意図を察した選手たちは、セカンドボールに素早く、それも泥臭く反応した。さらに、これまで淡白な対応が目立った1対1の局面でも、最後まで諦めることなく、懸命に食らいついていった。そのまま90分間、選手たちの『闘う』気持ちは途切れることなく、14試合ぶりの完封勝利を飾った。

「(名波)監督が来てから、チームは明るくなったし、試合内容もこれからどんどん良くなっていくと思う」

 試合後、ゴールを記録して勝利に貢献したMF松浦拓弥は満面の笑みを浮かべてそう語った。

 他の選手たちも、誰もが記者の質問に快活に答えていた。その光景を目の当たりしたチームスタッフが、驚きを隠せずにこう漏らした。

「選手たちに、笑顔も、明るい声も戻った。顔が上を向いているし、確実に自信を取り戻している。短時間でこんなに変わるとは......。(名波)監督の存在の大きさを改めて感じた」

 前節では18位の水戸ホーリホック(現在16位)に1-4と完敗。チームはどん底の状態にあったが、その悪夢を振り払って、チームの重いムードは完全に一掃された。

 名波新監督に期待するファンの反応も早かった。就任初日、急きょ公開となったチーム練習には、平日にもかかわらず300人以上の見学者が詰め掛けた。加えて、名波監督就任が伝えられると、直後の愛媛FCとの観戦チケットがおよそ3日間で3000枚以上売れた。過去には例のないことだった。

 愛媛FC戦で久しぶりに観戦に訪れたという、40代の女性ファンが言う。

「しばらく(スタジアムには)足を運んでなかったけど、名波さんが監督になったから、次も絶対に応援に来ます!」

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