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高橋陽一氏『大空翼の夢はW杯優勝、作品もそこを目指したい』 (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 写真●村上庄吾 photo by Murakami Shogo

「これまでバルセロナには6~7回は行っています。初めて行ったのは、日本が初出場を果たした1998年のワールドカップのときでした。フランス国内でホテルが確保できなくて、比較的近い距離にあるバルセロナを基地にしてワールドカップを楽しんだんです。そのときに、バルセロナの本拠地カンプ・ノウのスタジアムツアーに参加して、そこで『いつか翼をここでプレーさせたい』という気持ちになりました。 

 実は、最初は同じバルセロナにあるエスパニョールの方がいいと考えていたんですけど、当時のエスパニョールはモンジュイックの丘にあるオリンピック・スタジアムが本拠地で、『翼のヨーロッパのキャリアのスタートは、ここじゃない』って思いまして(笑)」

 2004年には、実際にバルセロナFCから招待を受けた高橋先生がクラブを訪れ、大空翼の公式入団会見が催されるというエピソードもあった。それが実現した背景には、スペイン国内で『キャプテン翼』のアニメが人気を博していたことがある。

「正確な年代は把握してないんですけど、だいたい同じような時期からドイツ、フランス、スペイン、イタリアなどで、『キャプテン翼』のアニメの放送が始まり、わりと人気があったみたいですね。実際、日本の選手のように、ヨーロッパでもサッカー少年が影響を受けていたようで、これまでデル・ピエロ選手(※1)、ラウール選手(※2)、ジダン選手(※3)らに会ったことがあります。彼らは『よくプレーを真似していた』、『学校に行く前に必ず見ていた』と、楽しそうに自分の少年時代の話をしてくれました」

(※1)セリエAユベントスで活躍したFW。セリエA、Bリーグで通算209ゴール。
(※2)リーガ・エスパニョーラ、レアル・マドリードで活躍したFW。レアル・マドリードの歴代最多出場、最多得点の記録保持者。
(※3)セリエA、ユベントスやリーガ・エスパニョーラ、レアル・マドリードで活躍した攻撃的MF。フランス代表でも10番を背負い、数々のタイトルを獲得

 これまで歴史に残るような日本の人気スポーツ漫画はたくさんあるが、『キャプテン翼』ほど世界中の人々に愛されている作品は見当たらない。ヨーロッパはおろか、南米を含む世界各国で人気を博し、それを見たサッカー少年が、やがて世界的スター選手になることももはや珍しくない。

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