3連覇という偉業達成へ。サンフレッチェに「秘策」あり (3ページ目)
チャンスの数が減少すれば、得点の機会も少なくなる。FWにとっては死活問題だ。佐藤は昨季、全34試合に出場して17ゴールを奪ったが、半分の17試合で途中交代させられている。富山との練習試合でも、チームのボール支配率が高かったのとは裏腹に、佐藤に訪れたシュートチャンスは一度だけ。75分頃にピッチを後にした。
「監督からは『コンディションを考慮して』と言われていますが、連戦でなければ、自分としては90分やれると思っています。やっぱり、スコアが動くのは75分以降が多い。そこでピッチに立っていられないのは、ストライカーとしてもったいない。それに、1試合で4、5本のシュートチャンスがあればいいけど、1、2本で決めろというのは、やはり難しい。理想は前半から多くのチャンスを作って、早い時間帯に決めること。先制点さえ取れれば、自分たちが試合をコントロールする自信があります。先制点を取るためには、高い位置でボールを奪う守備は欠かせないと思うから、積極的にチャレンジしていきたいです」
2連覇の礎(いしずえ)となったベースを、より隙がなく、強固なものにブラッシュアップするチャレンジは、他にも窺(うかが)える。例えば、ジュビロ磐田で分析を担当していた中下征樹コーチが今季から加わり、「相手がうちをどう分析していたのかを少しずつ落とし込んでくれている」(佐藤)ということも、そのひとつだろう。
森保監督は言う。
「我々はリーグ最少失点でしたけど、失点の数はまだまだ減らせるし、いい守備ができれば、自ずと得点力アップにもつながっていく。もっと、もっとできると思っています」
細部に対する徹底的なこだわりと、理想に対する飽くなき追求。この高い要求にチームが応えられたとき、鹿島アントラーズ(2007年~2009年)しか果たしたことのない、3連覇の偉業が見えてくる。
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