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サガン鳥栖・豊田陽平が語る「天皇杯で結果を出してW杯へ」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by GettyImages

 そう語る豊田は、Jリーグ過去2シーズン合計得点で、佐藤寿人(サンフレッチェ広島)と並ぶトップの39得点を記録。しかもマークが厳しくなった2013シーズン、前シーズン以上の20得点を叩きだした点は瞠目(どうもく)に値する。

「満足はしていないですよ。ユンさん(鳥栖の尹晶煥監督)には、『ゴール前での競り合いではかなり勝ててる。加えて、ターンしてからのミドルシュートが決まるようになれば、もっと得点は増える』と言われて、みっちり練習していますね。ステップワークをもっと細かく、とか、ボールタッチが雑、とか、置き所をもっと遠くに、とか、丁寧に指導してもらっています。『ローカルスターではなくて日本のスターになれるように、もっと自分の力を発信していけ。まだ伝わっていない』とも言われますし、もっとアピールが必要ですね」

 豊田はキャリアの節目節目で、良い指導者に恵まれている。プロ1年目の名古屋グランパスで出場機会を与えてくれたネルシーニョ、期限付き移籍先のモンテディオ山形でプロFWとしての基本技術を叩き込んでくれた小林伸二、北京五輪という世界の舞台で抜擢してくれた反町康治、そして鳥栖で"戦う"という意味を改めて教えてくれた尹晶煥。日本代表FWにはそうした指導者に恵まれる運と器量があったのだろう。

 もっとも、挫折しかけたことも幾度かある。『グロリアス・デイズ』(集英社)に書き綴っているが、その道は平坦ではない。彼は不屈の闘争によって、J2から這い上がって日本代表に入るという成功を成し遂げているのだ。

「若い頃は、自分をコントロールできていなかったところはありますね。経験をする中で対応できるようになったと思います」

 豊田は一人の選手として、したたかになった。

「代表に関しても、W杯に向けて、もう先発出場とかにこだわっているわけではないんです。それは現実的ではないですから。今はどうやってメンバーに入るか、ですね。そのためにはパーツパーツの部分、守備とかヘディングとか、一つ一つ自分の特長を(ザッケローニ監督が)生かしたくなるようなアピールをするしかないと思っています。途中からでも武器として使ってもらえるように」

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