1年間のブランクを経てトライアウトに参加した最年長GK
12月17日、「2013JPFAトライアウト」がフクダ電子アリーナで開催された。参加者は総勢73名。平均年齢は26.8歳だった。各組に分けられた選手たちは、7対7の7分間のミニゲームと11対11の30分間のゲームを行なった。ほとんどの選手が初の顔合わせで、そこには契約を勝ち取ろうとする男たちの独特の緊張感があった。
「フリー!フリィィィー!」
まるで獣の咆吼のような掛け声が、ピッチに響き渡る。伊東輝悦と並んで最年長参加者のゴールキーパー、小澤英明(39歳)は、最後方のポジションから"即席の"仲間たちを鼓舞し続けていた。
小澤英明。かつてアトランタ五輪代表GKの座を川口能活と争った。鹿島、横浜F・マリノス、FC東京などを経て、2013年1月、新潟を退団している 小澤は長年に渡り鹿島アントラーズでプレイ。Jリーグ3連覇などに貢献した。セカンドGKが定位置だったものの、1日としてその立場に甘んじず、チームを支え続けた。そして南米パラグアイ1部リーグスポルティボ・ルケーニョでは見事に正GKの座をつかんだ。帰国後に所属したアルビレックス新潟でも2011シーズンにスタメンを確保、37歳にしてキャリア最高の出場記録(カップ戦を含めると20試合出場)を残している。
しかし2012シーズン終了後に新潟を退団後、1年間はチームを探して浪人。本来トライアウトはJリーグ所属選手が参加資格を持つが、プロ22年目になる男には特例参加が認められていた。
修羅場をくぐってきた男の老練さを、小澤はトライアウトの限られた時間でも見せている。
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