停滞感を打破できるか?
コンフェデでザックジャパンに期待すること (2ページ目)
だからといって、バックアップメンバーがレギュラークラスを脅かすだけの存在にはなっているかというと、そうではない。ホームでのオーストラリア戦(6月4日)で、試合前日に帰国した本田と岡崎が起用されていることからもそれは明らかだ。しかも、ふたりとも調子がいいとはいえなかったにもかかわらず、先発で起用された。
本田や香川ら主力不在のときに備えて、コンフェデでもバックアップメンバーをもっと起用して経験を積ませ、チーム力の底上げをするべきという考えも当然あっていいのだが、私は、それは今必要ないと考えている。なぜなら、クラブチームと違って代表チームには時間がないため、現在のメンバーの連係をさらに高めて、コンビネーションや意思疎通をレベルアップし、チームのまとまりや組織としての成熟を優先させてほしいからだ。
さらに、スタメンの遠藤と今野は、現在J2で戦っているため、プレミアリーグやブンデスリーガで各国代表選手と日々体をぶつけている吉田や内田らと比べたとき、代表レベルの国際経験が不足していると言わざるをえない。だからこそ、ふたりを代表戦で積極的に起用して国際レベルでの経験を積ませるべきだと思う。その意味で、今回のコンフェデは非常に重要だ。選手起用についてはさまざまな意見、考え方があると思うが、チームとして限りある貴重な時間を何のために使うかをよく考えるべきだろう。
また、戦術面で4バックと3バックを併用することについて、私自身はあまり賛成できない。全員が集まってトレーニングする時間が少ない今の代表チームでは、ふたつの戦術を併用すると、混乱が生じるだけというのが私の印象だ。もし3-4-3をやるのであれば、それだけを練習と試合で続けるべきで、クラブチームと違って時間のない代表チームではそれぐらいしないと選手が3-4-3システムを習得することは難しいのではないかと思う。
3バックと4バックの併用については、イタリア代表はできているという意見もあるかと思うが、イタリア代表の選手は国内リーグで3バックも4バックも経験しているから対応できているということを考慮すべきだろう。
それを考えると、日本の3-4-3はまだバランスが悪いというのが私の考えだ。たとえばブルガリア戦(5月30日)では、相手にうまく守られたということもあると思うが、選手が中央に集まりすぎて、距離感が悪くなって機能していたとはいえなかった。
日本のよさのひとつは、選手がいい距離感を保ち、ワンタッチでパス交換をしながらフィニッシュまで持っていけるところにある。この「いい距離感」がコンビネーションを生みだすためにもっとも必要な要素だ。要はボールのところに人数をかけていく「ボールオリエンテッド」なサッカーということであり、個の力で突破するよりも、コンビネーションで崩していく。
それでも、ホームでオーストラリアをなかなか崩せなかった日本代表が、コンフェデでブラジルやイタリアを崩すのは難しいだろう。では、ブラジル、イタリアと互角以上に戦うためにどうするべきか、また、何が必要か。
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