【日本代表】監督の意図は?ザックジャパンの「両SBのバランス」を考える (3ページ目)
そう考えると、全体のバランスを取って動ける選手は、少し損な役回りなのかもしれない。なぜなら、ボールから一番遠いところで、つまりボールがないところでバランスを取ってリスクマネジメントをしているので、そのプレイをしっかりと見て評価するのは指導者ぐらいしかいないからだ。スタジアムに応援に行っている人は、どうしてもほとんどがボールウォッチャーになるし、テレビ観戦しているときはなおさらそうなる。
だからテレビに映らないところやボールのないところで、事前にピンチを防ぐようなポジショニングを取る動きをしている選手というのは、現場の指導者や選手たちの評価は高いが、スタジアムに見に来ているお客さんやテレビで観ている人にとっては、評価しづらいのではないかと思う。
テレビで観戦していると、ガンガン行って仕掛けている選手はもちろん評価が高いが、それは実は、モニターに映っていない選手がうまくチーム全体のバランスを取っているからガンガン行けているということでもある。
代表戦をテレビで見ていても、どんどん前に行く長友のプレイはすばらしいし、評価は当然高い。しかし、チーム全体として考えた時に、内田の存在や、逆サイドにいる選手のカバー、センターバックやボランチの選手のカバーがあるから長友が前に行けているということも理解してもらいたいし、全員が連動しているということもわかると、観戦がより面白くなるはずだ。
著者プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。
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