【日本代表】監督の意図は?ザックジャパンの「両SBのバランス」を考える
現在のザックジャパンのSBは、右は内田篤人、左は長友佑都が起用されることが多い
福田正博 フォーメーション進化論 vol.33
サッカーはチーム全体のバランスを考えるスポーツでもある。もちろん、左右のSBのバランスも重要になる。たとえば、バルセロナの場合で考えると、ボールを保持して攻撃している状況では、両サイドバックの位置を高くして、サイドからも攻撃をしかける。
もちろん、バルサのボールポゼッション率は高いので、だからこそ両SBが積極的に上がるリスクを冒せるということでもある。このときピボーテ(守備的MF)のブスケツはバランサーとして両CBの間に下がってくる。そして、CBは開いてサイドのスペースを埋める。
これに対してザックジャパンは、基本的には両サイドバックが同時に上がることはなく、どちらかはバランスをとって守備ライン近くにとどまる。このとき中央のダブルボランチが縦関係になって、ひとりはCBの近くにいる。ここの役割は遠藤保仁ではなく、長谷部誠が上がらずに残るシーンが多い。
これはどちらかといえばオーソドックスな形であり、この部分については、ザッケローニ監督の手堅さが表れていると思う。SBの片方が上がったら、もう一方は自重する。だから、左の長友佑都がどんどん前に行けば、やはり右の内田篤人はバランスをとるために前に行きづらくなるのは確かだ。
反対に、左SBの長友が控え目にしていれば、右の内田はどんどん行くべきだろう。そこはやはり、両サイドバックがお互いを見て判断する部分もある。ザッケローニ監督としても、このあたりのバランスは約束事として指示を出しているのではないだろうか。
逆にサイドバックに両方行けという、たとえばセレッソ大阪や柏のようなスタイルもある。これはブラジル代表のスタイルに近く、両サイドバックが高い位置を取ると、ボランチの選手がバランスを取って、サイドのスペースをケアする。
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著者プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。