【日本代表】岡崎慎司の「泥臭さ」が発揮された終了間際の勝ち越しゴール

【福田正博の日本代表スカウティングレポート Vol.30】
2014 FIFAワールドカップ アジア最終予選 vsオマーン 
後半44分 岡崎慎司 
○日本 2−1 ●オマーン 
2012.11.14 オマーン・マスカット


 今回は、2012年11月オマーン戦の岡崎慎司のゴールを解説します。

 このゴールは、途中出場の酒井高徳が突破をしてクロスを入れてゴールが生まれるのですが、このゴールでポイントになる選手は3人います。

 ひとり目はクロスを上げた酒井高徳。ふたり目は前でボールを触ってコースを変えた遠藤保仁。そして3人目はゴールを決めた岡崎慎司。

 ここ(左サイド)で酒井高徳がボールを持ちます。サイドバックで入りましたが、高い位置を取っていました。積極的に仕掛けていって、酒井高徳の良さである縦へのスピードで、時間のないなか、相手が疲れている状況で、縦に仕掛けたということがひとつ大きかったと思います。

 少し強引でしたが、縦に突破しました。相手を抜ききるわけではないんですが、クロスを入れられるだけのコースをつくって、ここで思い切って中央に(クロスを)入れました。

 その時、遠藤も非常にタイミング良く、ディフェンダーの前に斜めにランニングして、相手ディフェンダーの前でボールを触ることができた。非常にいいタイミングで相手の前に入り込んで、少しアウトサイド気味にボールを触った。

 たぶんシュートだったと思うんですね。パスを選択するというのはなかなか難しいですから、ゴール方向にするためにボールを触ったということだと思います。

 ここでコースが変わった。このときに素晴らしいのは、岡崎は遠藤が触る時に、すでにゴール方向にボールが来るだろうという予測をして、早く動き出していたんですね。

 相手の裏に入って早く動き出すことによって、キーパーとディフェンダーの間に入ってきたボールに身体を投げ出してゴールを生んでいる。非常に岡崎らしい予測をして生まれたゴールだということが言えます。

 岡崎は『泥臭い』と言われていますが、それはやはり経験や色々な情報を得たなかで、予測をすることができているので、ゴールが生まれたのだと思います。

 そういう意味では、このゴールは、途中出場してきた酒井高徳のフィジカルと縦への突破。そして、遠藤がタイミングよくディフェンスの前に入ってきてボールを触ったこと。そして、それを予測してポジションを取っていた岡崎。3人が非常にいい形でつながったので、ゴールになったシーンだと思うんですが、終了間際だっただけに価値のあるゴールだったと思います。

【ゴールのポイント!!】
1.酒井高徳のドリブルでの仕掛けとクロス
2.遠藤保仁のニアサイドへの動き
3.岡崎慎司のゴール前での反応速度

動画はこちら>>

プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

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