【高校選手権】決勝戦を制すのは、
セットプレイの鵬翔か、強力2トップの京都橘か
準決勝では鮮やかなFKを決めた鵬翔の小原裕哉(写真右)。 第91回全国高校サッカー選手権は、鵬翔(宮崎県)と京都橘(京都府)が決勝に進出。おそらく戦前の予想では誰も思いつかなかったであろう、対戦カードとなった。鵬翔は12回目の全国舞台となるが、今回は6年ぶりの出場で4強入りさえ初めてのこと。一方、京都橘に至っては、出場2回目での快挙だ。実力伯仲の混戦模様が叫ばれてきた今大会だが、そのイメージもここに極まった感がある。
しかし両チームとも、この厳しいトーナメント戦を勝ち上がるにふさわしい戦いを見せてきた。何より、素晴らしいのはディフェンスだ。準決勝では、鵬翔は星稜、京都橘は桐光学園という、力も経験もある「格上」と対戦しながら、安定した守備を披露。両チームとも、個々の粘り強い対応と、MFライン4人、DFライン4人を連動させた組織的な守りで、相手の攻撃のキーマンたちに自由なプレイをさせなかった。
「県予選から、守りを固めることが勝つための戦い方だった」(松﨑博美監督)という鵬翔は、実は手違いがあって、事前に準決勝で対戦する星稜のゲームを1試合も見ることができなかったという。そのせいか、序盤は星稜の高さのある2トップに手を焼き、前半14分には左サイドを崩されて今大会初めて先制を許した。
だがそれ以降は、両サイドから意識してゴール前にハイボールを送る星稜の攻撃に対して、ボールを入れる選手へのプレッシャーを徹底。同時に、ゴール前の競り合いでは、勝てないまでも、相手に体を寄せて自由にヘディングさせないように対応した。
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