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【高校選手権】決勝戦を制すのは、
セットプレイの鵬翔か、強力2トップの京都橘か (3ページ目)

  • 菊地芳樹(ストライカーDX編集部)●文 text by Kikuchi Yoshiki(STRIKER DX)
  • photo by Kishiku Torao

 準決勝でも鵬翔は、得意のセットプレイから2ゴールを決めることに成功した。圧巻だったのは、前半31分に1-1に追いついたMF小原裕哉(2年)の直接FK。相手の壁の前に立てヒザで味方を5人も並べ、相手GKの視界をさえぎると、ゴール左上隅に見事に決めた。

 鵬翔のセットプレイの特徴は、蹴るまでにかなりの時間をかけることにある。入念に準備したほうが、練習の成果が出やすいのだ。このFKのシーンでも、ファールの笛がなってからシュートが蹴られるまでに1分20秒の時間を要した。この十分な「タメ」の時間が決定機の成否をはかるバロメーターにも感じる。見る側にとっては、その後にどんなことが起こるのか、さまざまな想像をめぐらすにはいい時間となるのではないだろうか。

 対する京都橘は、仙頭啓矢(せんとう・けいや/3年)と小屋松知哉(2年)の2トップが最大の武器であり、魅力。ふたりはとんでもないほど意思疎通が図れていて、通常では想像もつかないコースにパスが通るなど、見ていて本当に楽しい。気難しい人が多い記者席でも、「おおーッ!」という純粋に感嘆する声が度々挙がっている。

 準決勝のこう着状態の中で生まれた、前半42分の先制ゴールも強烈だった。最前線の小屋松が自分のところに入った縦パスをダイレクトで横にはたくと、これを受けた仙頭が相手の人数が多い中、狭いコースを絶妙にくぐり抜けていくパスを小屋松へ送ったのだ。その展開から、最後は味方シュートのポストの跳ね返りを仙頭が押し込んだが、相手守備陣をあざわらうかのような、ふたりのコンビネーションによる中央突破にはとにかく驚かされた。

 何はともあれ、初の頂点を目指す鵬翔と京都橘。ここまでは、互いに持ち味を発揮して勝ち上がってきた。決勝戦でも、それぞれのストロングポイントをすべて出し尽くすことができるような、好ゲームになることを期待したい。

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