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【Jリーグ】大阪からJ1クラブが消えてしまう? (2ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

 それぞれのケースについて、もう少し詳しく見ていこう。セレッソについて説明してくれたのは、普段からチームの動向を追っているスポーツニッポンの西海康平記者だ。

「昨年まで5シーズンに渡って指揮を執ったレヴィー・クルピ監督は、かつては香川真司や乾貴士、昨季は清武弘嗣やキム・ボギョンら2列目のタレントを最大限に活かし、攻撃的なサッカーを標榜(ひょうぼう)していました。しかし今季のセルジオ・ソアレス監督は、攻守のバランスを重視するため、守備でのハードワークも求めます。それで2列目の選手に守備の負担が増し、持ち味が薄れてしまった。もともとチームには若い選手が多いため、意識が守備に傾きすぎてしまった印象です」

 ガンバの場合は、事情がもう少し複雑だ。10年間指揮を執った西野朗監督(現ヴィッセル神戸監督)が昨季限りで退任。後釜に元日本代表の呂比須ワグナー氏を据えようとしたが、ライセンス上の問題で日本サッカー協会から許可が下りなかった。そこで急きょ呂比須氏をヘッドコーチに、監督には呂比須氏が推薦したセホーン氏を招聘する。ところが、セホーン氏がミーティングを行なったあと、再び呂比須氏がミーティングを開くなど、二頭体制が混乱を巻き起こしてしまう。

 状況が改善されぬまま開幕を迎え、公式戦5連敗を喫したところで、クラブはセホーン監督と呂比須ヘッドコーチを解任。コーチを務めていた松波正信氏が再建を託されたが、トップチームの指揮を初めて執る37歳の青年監督は、まだ立て直せないでいる。

 2005年からガンバの取材を続けているサッカーライターの下薗昌記氏は言う。

「監督交代によって混乱を招いたのは確かですが、致命的だったのは今オフに山口智(現ジェフ千葉)と橋本英郎(現ヴィッセル神戸)を放出したことです。前体制で監督のイメージをピッチで体現し、遠藤保仁を最高の形でサポートしていたのが、このふたりでした。橋本は『ガンバの頭脳』で、山口は『ガンバの設計図を持っていた選手』。監督を代えるタイミングで彼らまで放出したため、ピッチ上での約束事や守備の連係が曖昧(あいまい)になってしまったんです」

 では、両チームに反撃の可能性はないのか。前述の山本氏は語る。

「そんなことはありません。ここから先大事なのは、監督がやってきたことに自信を持ち、ブレないことです。ここまで数ヵ月掛けて積み重ねてきたものがあるのに、結果に左右されてやり方を変えてしまっては、台無しになってしまいます。また、ガンバはかつて在籍し、チームのことを知っている選手を補強し、刺激を入れました。セレッソも今、オリンピックに出場している扇原貴宏と山口螢の両ボランチが素晴らしい経験を持ち帰って自信を持ってプレイすれば、チームが変わる可能性もあります」

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