【Jリーグ】浦和レッズは本当に生まれ変わったのか?

  • 菊地正典●取材・文 text by Kikuchi Masanori
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

磐田戦でも先制ゴールを決め、さらに自信を深めた柏木陽介 磐田戦でも先制ゴールを決め、さらに自信を深めた柏木陽介  浦和レッズが好調だ。第19節を終えて、9勝7分3敗の勝ち点34で3位。昨季の全34試合で得た勝ち点まで、すでにあと2ポイントに迫っている。4位ジュビロ磐田との上位対決となった第19節も、ホームで2対0の完封勝利。首位を走るサンフレッチェ広島との勝ち点差を3ポイント――すなわち1試合差とした。

 果たして浦和は、本当に生まれ変わったのだろうか。好調の要因を選手たちに聞くと、異口同音の答えが帰ってきた。柏木陽介が「監督のサッカーにみんなが真剣に取り組めているのが要因だと思う。それが一番。みんなで同じ方向を向けている」と話せば、鈴木啓太は「今年は新しいことにチャレンジして、自分たちが進んでいる方向は間違っていないと確信できている」という。そろって「同じ方向」という言葉を発した。

 昨季、指揮をふるったゼリコ・ペトロビッチ監督は、フォーメーションや各選手のポジションをできるだけキープさせ、個人で勝負するサッカーを試みた。一方、新任のミハイロ・ペトロヴィッチ監督は、全員攻撃・全員守備のコンビネーションサッカーを標榜(ひょうぼう)している。どちらが優れていてどちらが劣っているという単純な話ではないが、「人のせいにしてしまうところがあった」(柏木)という昨季までの個のサッカーに比べ、コンビネーションサッカーに重きを置いたことが、チームに一体感を芽生えさせたのは間違いないだろう。

 むしろ、コンビネーションサッカーに取り組んだことで、「個」が生きたともいう。守備の要、坪井慶介はこう説明する。「ベースとしてはチーム。チームのために与えられた役割をこなすことで、まず絶対的なベースとしてやらなきゃいけないことがハッキリした。それをやったからこそ、個のプレイが生きている」。

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