これまでのサッカー日本代表にはなかった「事象」が起きたオランダ戦 それは今後への光か、あるいは影か (2ページ目)
森保一監督は現在の日本代表の強みを「粘り強く戦う」ことだと言い、「先行勝ちきり」を理想としているにもかかわらず、そんなチームが膠着した試合展開のなかで先に失点し、しかもすぐに追いつきながら、再び勝ち越し点を与えているのだ。
4年前のワールドカップでドイツ、スペインに逆転勝利した試合にしても、昨年ブラジルを相手に2点差をひっくり返した親善試合にしても、得点経過を振り返ると、日本はリードされても一度追いついてしまえば、その後は相手に得点を許していない。
つまりは、これまで日本代表がジャイアントキリングを起こしてきた試合にはなかった展開が、このオランダ戦では起きていたのである。
2度も追いついたということは、裏を返せば、2度もリードを奪われたということである。粘り強い戦いが売りのチームとしては、この"今までになかった事象"をどう解釈するかは難しいところだ。
日本とオランダはともにこの試合が大会初戦ということもあってか、互いにギアを上げきれなかった。内容的に見て、両チームともそれほど出来がよかったわけではなく、よく言えば慎重な、悪く言えば消極的な姿勢が垣間見えた試合でもあった。
だからこそ、得点できずとも、失点してはいけなかった。
先制され、追いつき、勝ち越され、また追いつくという試合展開は、昨秋のパラグアイとの親善試合でもあったものだが、そのときもまた、内容的にはパッとしない試合だったことを考えると、エンタメ性抜群の同点劇も、むしろ不安の種をうやむやにしてしまうものになりかねない。
森保監督は今年3月に行なわれたイングランド戦前日、「我々はダークホースとしてワールドカップ優勝を狙う」と話していたが、サッカーにおける一般論として言えば、ダークホースが勝ち上がっていくには、いかに失点を抑えるかが重要。失点しても取り返せばいいとばかりに"打ち合い上等"の試合をしていたのでは、勝ち上がりは難しい。
冨安は、初戦の引き分けをあくまでも「ポジティブにとらえるべき1ポイント」としたうえで、こう続ける。
「逆に言えば、次(チュニジア戦)はしっかりと勝ち点3を狙いにいくべきところだと思う。絶対に次の試合も簡単じゃない。前回大会の経験(初戦でドイツに勝利しながら、第2戦でコスタリカに敗れた)も知っている選手がいる。そこを生かさないと意味がない」
はたして2度のビハインドをはねのけての引き分けは、日本代表に世界的強豪国と肩を並べるような地力が身についてきたことを示しているのか。あるいは、これまでの強みが揺らぎ始めていることを示しているのか。
その答えは、今後の試合が教えてくれるはずである。
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