【サッカー事件簿】ドイツワールドカップ、川口能活が振り返るオーストラリア戦での誤算 「調子がいいので『いける』と...」 (3ページ目)
自分はDFラインを上げるようにコーチングしましたけど、スタンドの歓声でほとんど声が届かないんです。加えて、前線でボールを追っていた選手たちの足が止まってきたことで、後ろからラインを上げることがさらにできなくなってしまいました。
その結果、(日本は)どんどん間延びしていき、前は孤立して、攻撃が単発に終わっていました。反対に、相手は容赦なくボールをどんどん蹴ってくる。それに対処するため、センターバックはジャンプして競り合わないといけない。それを何度も繰り返しているうちに、暑さも相まって、ボディブローのように効いてくるんです。(日本は)なんとか必死に耐えている状態でした」
日本は後半34分、FW柳沢敦に代えてMFの小野伸二を投入した。だが、ジーコからはその交代に対する指示がこれといってなく、流れはさらにオーストラリアへと傾いた。
後半39分、オーストラリアがゴール前にロングスローを放った。川口はボールの落下地点を予測して、大きく弾き飛ばそうと前に出た。
だが、DF中澤佑二と重なって、うまく弾くことができず、ボールが後方へ流れてしまった。それに、途中出場のMFティム・ケーヒルがすかさず反応。オーストラリアに同点ゴールを奪われた。
「あれは、自分の判断ミスでした。あの時間帯、(オーストラリアに)制空権を奪われていたので、自分が出ていって何とかしたい、という気持ちが強かったんです。
GKは守備機会が多いと乗っていきやすいんですが、この試合は自分のなかでもいいリズムで集中してプレーできていました。だからこのときも、調子がいいので『いける』と思って出ていったのですが......。
調子がよかったことを思えばなおさら、もっと冷静にプレーすべきでした。あそこも、後ろの選手にまかせるなりすればよかった。結果的に判断を間違えて、同点に追いつかれ、オーストラリアに流れを持っていかれてしまった。失点の責任をすごく感じました」
失点した瞬間、ピッチ上の選手たちの表情はうつろだった。同点に追いつかれたとはいえ、試合はまだ終わっていなかったが、日本の選手たちはまるで電池切れを起こしたかのように動きがピタリと止まってしまった。
ドイツ戦で見せた勇ましさはどこへいってしまったのだろうか。
本大会に至るまで、このチームは非常にタフな経験を重ねてきた。どんなに難しい状況に直面しても、決してあきらめることなく戦ってきた。
3 / 4


