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【サッカー事件簿】ドイツワールドカップ、川口能活が振り返るオーストラリア戦での誤算 「調子がいいので『いける』と...」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Shun Sato

 このドイツ戦で、レギュラーメンバーがほぼ確定。好ゲームができたことで、チームはいい流れに乗りつつあった。

 しかし、その後に行なわれたマルタとの親善試合(1-0)は、ドイツ戦とは真逆の、緊張感のない試合となり、試合後のロッカールームでは指揮官であるジーコの怒鳴り声が響いた。

「ドイツ戦以降、ふだんの練習でも少し強度が足りない感じがして、緊張感もやや欠けている気がしていたなかでのマルタ戦だったんです。ワールドカップの厳しさを知るジーコは、『このままじゃダメだ』『ワールドカップはそんな甘いもんじゃない』という喝を入れたんだと思います」

 このときのチームはワールドカップ経験者が多数いた。それぞれがやるべきことは十分にわかっていたのだろう。ジーコの叱咤にも変に動揺することなく、落ちついていた。初戦へのカウントダウンが始まり、川口も1998年のフランス大会以来、8年ぶりにワールドカップの舞台に立てることを楽しみにしていた。

 ただ試合当日、緑の芝の間から噴き出るような湿気と直射日光の鋭さが、チーム全体にわずかな"揺らぎ"を与えた。高揚する川口の気持ちのなかにも、モヤッとする何かが影を落とした。

 オーストラリア戦の前半、日本は中村俊輔のゴールで先制。1-0とリードして前半を終えた。

 川口も好セーブを見せて、自身でも波に乗っている感覚があった。それゆえ、後半も自信を持ってゴールマウスの前に立った。

 そのとき、試合前以上の猛烈な暑さを感じた。スタジアムの左側にあるガラスが鏡のようになって直射日光を反射し、ゴール前を照らしていたのだ。

 川口は「この暑さは、ヤバいな」と、嫌な予感がしたという。

 オーストラリアは試合開始から3-6-1のシステムで中盤を厚くして、日本の攻撃の生命線である中田英寿と中村を自由にプレーさせない対応を取ってきた。後半に入ってからはその日本の中盤をケアしつつも、灼熱のなかでの戦いをより重視して、日本陣内へのロングボールを多用。後半16分に194センチの長身FWジュシュア・ケネディを投入すると、188センチのFWマーク・ビドゥカとのツインタワーを目がけて、その数を一段と増やして日本に圧をかけてきた。

 日本の守備陣は、その対応に追われた。

「ケネディが途中から出てきてパワープレーでくることは、(オーストラリアが)親善試合のオランダ戦でもやっていたことなので、わかっていました。でも、実際にロングボールを入れられると、その対応に苦慮してDFラインを下げられてしまった。

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