サッカー日本代表のメキシコ戦 序盤の優勢が「尻すぼみ」になっていったのはなぜか (3ページ目)
【攻撃的な選手を次々に投入しても...】
1トップの力量差も目に止まった。上田とラウル・ヒメネス。後者はアトレティコ・マドリード、ベンフィカ、ウルブズ、フラムなどで活躍してきたメキシコサッカーを代表するストライカーだ。上田にはない点取り屋としての雰囲気、風格を備えている。
後半16分、そのラウル・ヒメネスに代わって投入されたサンティアゴ・ヒメネスと上田を比較するとさらにわかりやすい。昨季まで所属したフェイエノールトで両者はライバル関係にあった。出場機会が圧倒的に多かったのはサンティアゴ・ヒメネス。その活躍が認められミランへ移籍したのだが、両者が敵味方に分かれて同じピッチに立つと差は鮮明になる。センターフォワードらしさの有無は、一目瞭然となった。
森保監督は交代カードを6枚切った。板倉滉と関根大輝の交代(後半15分)は板倉のケガによるものだが、それ以外の5枚は主として攻撃陣の入れ替えだった。
後半24分の交代は以下のとおりだった。
久保→前田大然、鎌田→佐野海舟、南野→伊東純也
この結果、2シャドーにはウイングバックから回った堂安と三笘が入り、WBには前田(左)と伊東(右)が構えた。鎌田と佐野海舟は同じポジション同士の交代だった。
両WBには、先発したふたりと同様、攻撃的な選手が入った。しかも活きのいいスピード系である。ところがスピード感はまるで演出できなかった。サイド攻撃が活性化することはなかった。
後半36分にも2人代えている。堂安と町野修斗、三笘と鈴木唯人の交代だ。布陣はこれを機に3-3-2-2に変化した。アンカーを遠藤航1枚とし、2列目を鈴木唯人と佐野海舟、2トップに上田と町野が構える布陣だ。3-4-2-1より攻撃的と言われる布陣である。
攻撃的な選手を次々と投入し、布陣もより攻撃的にしたにもかかわらず、サッカーは攻撃的にならなかった。それは、相手ボールに転じたとき、相手の両SBが比較的自由にボールを持つことができたことと密接な関係にある。
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