サッカー日本代表のメキシコ戦 序盤の優勢が「尻すぼみ」になっていったのはなぜか (2ページ目)
【機能しなかったサイド攻撃】
最終ラインの3人(板倉滉、渡辺剛、瀬古歩夢)のうち、渡辺と瀬古は、今回故障で招集外となった伊藤洋輝、町田浩樹、高井幸大が戻れば、スタメン候補ではなくなる可能性がある。そんな彼らの頑張りは今回、なにより讃えられるべきだろう。失点ゼロに抑えた立役者になる。
問題はMF、WBより上の7人だ。守田英正がケガで外れた守備的MFの一角には鎌田大地が入った。通常は南野拓実、久保建英と2シャドーのポジションを争う鎌田だが、少なくとも南野との関係はほぼ互角だ。森保監督は、売り出し中の佐野海舟ではなく、スタメン級という言い方ができる実力者を守備的MFに起用した。ベストメンバーと言いたくなる理由だ。
前半の序盤は特によかった。11分、久保建英が右足でメキシコGKルイス・マラゴンを泳がせれば、15分には同じく久保が右から鋭い折り返しを決めてメキシコDFを慌てさせている。だが日本優位はここから時間を経るごとに崩れていく。
ひと言でいえば尻すぼみだ。なかでも元気がなかったのは左WBの三笘薫だ。左ウイングをプレーするブライトンの時より、構える位置が15~20メートル低いとはいえ、対峙するメキシコの右SBホルヘ・サンチェスに1対1を仕掛けるチャンスはいくらでもあった。
だが結局、三笘は一度も縦勝負を挑まなかった。三笘が縦方向への推進力を発揮しなければ、左からのマイナスの折り返しを狙う選手はいなくなる。サイド攻撃から決定機は生まれにくくなる。
右にも似たようなことが言えた。右WB堂安律は左利きで半身がきつい。中に切れ込む動きが多くなる。所属のレアル・ソシエダで左ウイングを務める久保も、2シャドーの一角でプレーする森保ジャパンに加わると、切れ込む動きが増える。右も左同様、サイドの深い位置を突けなくなっていた。攻撃は真ん中に偏りがちだった。
メキシコはそうではなかった。回数は少なかったが、攻める形がよかった。3FW、すなわち1トップと両ウイングのバランスがよかった。攻撃が形になっていた。ゴールが逆算できそうなサイドからの崩しが効果を発揮した。
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