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サッカー日本代表、E-1選手権優勝も戦術面は変わらぬ残念な実情 3-4-2-1の問題点を露呈 (4ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi

【選手の能力を引き出すチーム戦術はないのか】

 もっとも、こういった選手個々の頑張りがチーム全体として機能していたかという点こそが、サッカーというチームスポーツにおいては極めて重要なポイントになる。その意味では、敵陣でのくさびの縦パスが前半の3本しかなく、クロスボールもわずか5本(前半4本、後半1本)に終わった今回の韓国戦は、「攻撃がほとんど機能しなかった試合」と総括するのが妥当だろう。

 こうなった原因は主にベンチワークにあるのは明白だが、同時に、仮にW杯予選を戦ったいつものメンバーでこの韓国に戦っていたら、おそらくここまで苦しめられることはなかったと、容易に推測できるのも事実。

 つまり、試合中の戦況判断を含めた選手個人の能力に大きく左右されるのが森保ジャパンのチーム戦術の本質である限り、今回活躍した選手たちが代表に定着するためには、さらに高いレベルの個のクオリティが求められる。

 本来であれば、選手個々の能力を最大限に引き出してくれるのがチーム戦術であるべきだが、残念ながら、固定されたチーム戦術のなかで選手の能力が埋もれてしまう試合が多発しているというのが、日本代表の変わらぬ実情だ。

 その本質的な部分をいつ変えるのか、それとも変えられないままなのか。9月以降に予定されているW杯本番の準備のための試合は、そこが最大の注目になる。

著者プロフィール

  • 中山 淳

    中山 淳 (なかやま・あつし)

    1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)

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