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サッカー日本代表のニューカマー・21歳DFに期待 鈴木淳之介は苛烈なサバイバルレースに挑む (2ページ目)

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei

【パスのコースがいっぱいあった】

 ラストパスのひとつ前(あるいはふたつ前)のパスも出せる。

 インドネシア戦で言えば、70分過ぎのプレーだ。左サイドでDFラインの背後へ走り込んだ佐野航大へ、柔らかいパスを通してみせた。

 自ら持ち出すこともできる。味方へパスをつなぐだけでなく、ドリブルで運んで、さばいて、もう一度受けることもできる。ドリブルで相手を剥がすこともできる。「ボランチと違って、前からしかプレッシャーが来ないので」と、事もなげに言うから頼もしい。

 インドネシア戦では、ドリブルで運んでいくプレーがいつもに比べると多くなかった。「緊張した」というのは、その理由に挙げられるだろう。「何日か前から準備はしていたけど、やっぱり先発って言われると前日はなかなか寝つけなかった」と明かす。

 周囲の選手の動きを生かしたところもある。「前の選手が流動的に動いてくれて、パスのコースがホントにいっぱいあった。すごくやりやすかったので、起点になるようなパスも出せました」と、試合後に話している。

 敵陣でボールを動かす時間帯が長かっただけに、CBの彼が前へ出ていくスペースは見つけにくく、無理に出ていくと味方が使うスペースを消してしまう、というところもあっただろう。実戦でのコンビネーションは手探りだったことを踏まえても、やるべきこと、できることを整理して臨んでいたのは評価できる。
 
 6月5日のオーストラリア戦と10日のインドネシア戦では、国際Aマッチ出場の少ない選手、これまで出場したことのない選手が数多く起用された。その評価について問われた森保監督は「こんなにできるんだ、個々がすばらしい特徴を持っているな、という印象が大きいです、その反面、選手によりますが、まだまだこの代表で選び続けるには力をつけてもらわないといけない、というところも、練習、試合のなかで見受けられました」と語った。

 現時点で主力との差は「大きい」としたが、「若い選手はひとつの経験で一気に変わる。今日の試合のなかでも、トライをしながらやれることが増えていると感じさせられた」と評価し、「(海外組が勢揃いした)最強の代表でポジション争いに食い込んできてくれることを、大いに期待できる」と競争激化を歓迎する。

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