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サッカー日本代表の低調だったオーストラリア戦を分析 同じ失敗を繰り返したのはベンチワークがないからだ (3ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi

【前回対戦とほとんど同じ展開に終始】

 後半も試合の構図に変化はなく、オーストラリアのプランどおりの展開が続いた。もちろん、森保監督も攻撃に変化を加えるべくカードを切った。64分に中村敬斗を左WBに、久保建英を右シャドーに投入し、鎌田がボランチに移動。選手のキャラクター的にも、より攻撃的な態勢でゴールを奪いにかかったが、その策は奏功しなかった。

 この試合で唯一日本が効果的な崩しを見せたのは、67分のこと。平河が右大外にランニングしたことで生まれた中央のスペースを活用し、久保が鈴木に斜めのくさびを打ち込むと、そのままエリア内に進入してリターンパスを受け、左足アウトで大橋祐紀にダイレクトパス。しかし、このチャンスは大橋のオフサイドに終わった。

 その他、日本には平河が放ったミドル(37分)と久保が狙った右足シュート(80分)がわずかに枠を外れるという惜しいシーンもあったが、どちらもルーズボール回収後の個人によるシュートで、チームとして相手を攻略した末のシュートではなかった。

 最終的に、試合は終了間際の90分にオーストラリアがアジズ・ベヒッチの劇的な決勝ゴールで勝利を収めたわけだが、試合内容に焦点を当ててみると、1-1のドローで終わった前回対戦とほとんど同じ展開に終始した。

 スタッツを見ても、日本のボール支配率は前回が65.1%で、今回が68.7%。パス本数は前回が598本(成功率83.9%)、今回は640本(89.2%)。シュート数は前回が12本(枠内3本)で、今回が13本(枠内1本)。オーストラリアがより守備的だったこともあって多少のアップはあったが、変化ととらえるべき差ではなかった。

 中央攻撃についても、上田綺世が1トップを務めた前回対戦では敵陣でのくさびのパスが4本(前半のみ)で、大橋が務めた今回も4本(前半1本、後半3本)。サイド攻撃でも、前回のクロス供給が18本(前半8本、後半10本)で、今回も18本(前半9本、後半9本)と、どちらもまったく同数だった。

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