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サッカー日本代表メンバーの大幅刷新を喜べない理由 新顔ばかりのチームでは今後のテストにならない (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【FIFAランクの話は一切出なかった】

W杯アジア最終予選のメンバーを発表する森保一日本代表監督(左) photo by Fujita MasatoW杯アジア最終予選のメンバーを発表する森保一日本代表監督(左) photo by Fujita Masatoこの記事に関連する写真を見る 前回のメンバー発表の会見で、山本昌邦ナショナルチームダイレクター(ND)は、「なぜ新たな選手を招集しないのか」という質問に対し、FIFAランクを引き合いに出し「W杯の抽選会で上のポットに入るためには、勝ち点をひとつも落とすことはできない」と述べている。森保一監督も「W杯本大会まで負けていい試合はひとつもない」と語気を強めたものだ。

 森保監督は今回の会見でも、「負けていい試合はない」と述べているが、前回とは言葉の強さが変わっていた。山本NDからFIFAランクの話は一切出なかった。フィールドプレーヤーの6割が入れ替われば、特にオーストラリアとのアウェー戦では勝ち点を落とす心配がある。ベストメンバーにこだわり、ケガ人を出した前回の反省を述べなければ、辻褄は合わない。

 実力と出場枠(8.5)の関係でいうと、日本は世界で最も楽な立場に身を置いていた。従来の突破確率が85%だとすれば今回は95%。4戦目を終了した段階では、限りなく100%に近づいていた。にもかかわらず、森保監督は7戦目、8戦目までテストを怠り、頑なにベストメンバーにこだわった。そして今回、「100%近く」が100%に変わると、フィールドプレーヤーを6割変えた。

 徐々に変えることができない代表監督なのだ。その資質に問題ありと、筆者には見える。

 先述のようにMF、FWで常連組は4人。不動のスタメンとなると遠藤だろう。しかし、その遠藤を今回、さすがに2試合フルタイム出場させることはできない。代表キャプテンとはいえ、今季のプレミアリーグを制したリバプールに所属する一流選手だ。格の高いベテラン選手を消化試合に起用するわけだ。取り扱いは慎重にしなくてはならない。出場時間はせいぜい半分。オーストラリア戦に先発フル出場させたら、インドネシア戦は休ませる。それが遠藤を起用する場合の常道だ。

 となると、3-4-2-1の守備的MFは、およそ半分の時間、常連組でない選手同士がコンビを組むことになる。それがたとえば佐野兄弟であったとしても、うまくいかない可能性は高い。テストとしてアンフェアだと言わざるを得ない。本気で若手を育てるつもりがあるのか、怪しいと言わざるを得ないのだ。

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