谷口彰悟がリハビリ中にダントツでうれしかった瞬間とは 「芝生の匂いを嗅いだ」 (2ページ目)
【リハビリの過程でうれしかったこと】
同時にリハビリもスタートした。徐々に足首を動かし、角度をつけていった。リハビリについては、ありがたいことにJISS(国立スポーツ科学センター)と、高円宮記念JFA夢フィールドで実施させてもらえた。
最初は歩行訓練からはじまり、足に体重をかける練習、つま先立ちやカーフレイズといったエクササイズに日々取り組んだ。そして、2カ月が過ぎたころにはジョギングができるまでに回復した。
自分にとって初めての大きなケガに、リハビリ中のメンタルがどのように変化していくのか。当初は気がかりだったが、それほど大きな波はなかったように思う。
それは長期に及ぶリハビリが初めての経験であり、新鮮さがあったからかもしれない。また、アキレス腱の負傷から復帰する過程においては、自分自身の進歩が見えやすかったことも奏功した。
最初は足すら地面につけないし、歩けなかったのが、足がつけるようになり、歩けるようになっていった。足首についても、まったく曲がらなかったものが、だんだん角度をつけられるようになっていった。歩けるようになってからも、最初は装具をつけていたのに、それが取れて、普通に歩行できるようになっていった。
少しずつだったとしても、確実にステップを踏んでいることが目に見えて実感できたことで、気持ちが大きく沈むことはなかった。
もちろん、リハビリの過程では思うように進まない時期もあった。それでも、手術直後の自分の足を見た時には、再びサッカーができるイメージもできなければ、サッカーがしたいという気持ちも湧かなかったため、前進している手応えに焦ることはなかった。
リハビリの過程で、やっぱりダントツでうれしかったのは、芝生のグラウンドに立った時と、再びサッカーボールを蹴れるようになった時だ。
高円宮記念JFA夢フィールドのピッチに立った時には、思いきり芝生の匂いを嗅ぎ、「やっと立てたな」と思い、ボールを蹴った時には「楽しいな」と感触を確かめた。
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