サッカー日本代表の5年後はどうなる? 識者たちが考えた2030年ワールドカップのメンバー
サッカー日本代表2030年のメンバー予想 前編
サッカー日本代表の来年の北中米W杯のメンバーは、これまでの戦いぶりからすると大方の予想はつくだろう。では、さらにその次の2030年W杯はどうなるか? 年齢的にもさすがに世代交代がありそうだ。どんな顔ぶれになるか、識者に予想してもらった。
【未来はパリ世代の奮起にかかっている】
浅田真樹(スポーツライター)
この記事に関連する写真を見るFW/上田綺世(後藤啓介)
MF/三笘薫、久保建英(鈴木唯人)、堂安律(佐藤龍之介)
MF/藤田譲瑠チマ、田中碧(守田英正)
DF/髙橋仁胡、板倉滉、冨安健洋(高井幸大)、関根大輝
GK/鈴木彩艶
5年後の日本代表のメンバー構成を大まかに世代でくくれば、パリ五輪世代が主力となり、それを東京五輪世代が支え、ロス五輪世代が底上げをする格好になっているのが通例であり、理想でもある。
まず、中心選手として期待されるのは、鈴木彩艶(パルマ)と久保建英(レアル・ソシエダ)のふたりだろう。ともに飛び級で東京五輪のメンバーに加わってはいたが、年齢的にはパリ世代。5年後は、まさに充実期を迎えているはずである。
その他のパリ世代では、すでに日本代表の招集経験を持つ、鈴木唯人(ブレンビー)、高井幸大(川崎フロンターレ)、関根大輝(スタッド・ランス)、藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)は、まだまだ実績十分とは言えないが、将来的には楽しみな選手たちだ。
ただし、世代全体の印象で言えば、パリ世代はなかなか日本代表に食い込めていないのが現状だ。これからの5年でどこまで勢力を拡大できるのか。日本代表の未来は、パリ世代の奮起にかかっていると言ってもいいだろう。
また、こうしたパリ世代の現状を考えれば、ヨーロッパで順調なステップアップを続けている東京世代が、5年後もまだまだ最大勢力となっている可能性は十分にある、というより、むしろ高い。三笘薫(ブライトン)をはじめ、現在の主力選手がほとんど選外になっているようなことはないだろう。
とりわけ、2度目の右ヒザ手術を行なった冨安健洋(アーセナル)はこの先、どこまでトップフォームに戻るのかが心配だが、日本人DFとしては傑出した才能を持つ選手だけに、来年はもちろん、5年後のワールドカップでも彼の姿を見られることを願っている。
そして、現時点では未知の存在とも言うべきロス世代のなかでは、佐藤龍之介(ファジアーノ岡山)の成長に期待している。体は決して大きくないが、フィジカルは強く、テクニックに優れる。中盤はもちろん、ウイング的にもプレーできるのは魅力だ。
また、ロス世代では、後藤啓介(アンデルレヒト)、道脇豊(ベフェレン)、高岡伶颯(サウサンプトン)と、FW陣が10代にして次々と海を渡っている。拙速な評価は禁物だが、彼らのなかから5年後の点取り屋が出てくるようなら面白い。
と同時に、ロス世代からは、髙橋仁胡(セレッソ大阪)、小杉啓太(ユールゴールデン)と、左サイドバックの人材が出てきているのも楽しみな要素だ。長友佑都(FC東京)以降、左サイドバックのエキスパートがなかなか見つからない日本代表にとっては、救いの世代となるかもしれない。
ただ、おそらく5年後の日本代表は、東京、パリ、ロスの3世代が中心になっているとはいえ、現時点での守田英正(スポルティング)の存在感を思うと、彼が35歳になる5年後も、チームに不可欠な存在であり続けていても不思議はない。
例えて言うなら、34歳でワールドカップに出場した遠藤保仁。試合の流れを読み、賢くプレーできる守田も、その頭脳で多少の年齢的な衰えは補ってしまいそうだ。
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著者プロフィール
浅田真樹 (あさだ・まさき)
フリーライター。1967年生まれ、新潟県出身。サッカーのW杯取材は1994年アメリカ大会以来、2022年カタール大会で8回目。夏季五輪取材は1996年アトランタ大会以来、2020年東京大会で7回目。その他、育成年代の大会でも、U-20W杯は9大会、U-17W杯は8大会を取材している。現在、webスポルティーバをはじめとするウェブサイトの他、スポーツ総合誌、サッカー専門誌などに寄稿している。
原山裕平 (はらやま・ゆうへい)
スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。
中山 淳 (なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)