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サッカー日本代表の構造的欠陥 久保建英がレアル・ソシエダで見せている本来の力を出しきれない原因は何か? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【選手の持ち味を殺す起用法】

 まず、ツリー型の1トップの選手は、ボールを引き出し、収め、展開し、ギャップを生み出す技術、戦術の高さが必要であるが、率直に言って、前田大然は適切な人材ではない。

 裏にボールを引き出す爆発的な動きはあるし、自らボールを強奪して得点か、というシーンもあったが、ポスト役にはなれず、"前線のプレーメーカー"になるタイプではないのだ。

 もうひとつ、右ウイングバックを任された菅原由勢がブレーキになっていた。菅原は、サイドバックとしては日本人トップの選手である。後方から奇襲的にインサイドを破るなど、攻撃をカバー、フォローするところでは力を出せる。しかし、サイドに張ってボールを受けても、マークにつかれてしまうとドリブルで崩せる選手ではない。結果、ボールを戻すしかなかった。

 森保一監督が選び、頑迷に続けた編成自体が、機能不全の理由だ。

 久保は組織としての不具合を解消しようと奮闘していた。

 前半26分、インサイドでボールを受け、左足を振って、やや強引にシュートしたシーンは、「相手がプレスに来なかったし、一発、遠目からシュートを打っておこうと」と本人が振り返っているが、どこか業を煮やした格好か。

 35分には遠藤航がドリブルで突っ込んだ後、敵に奪われたボールを田中碧がカットし、拾った久保はすかさず左ウイングバックの中村敬斗に展開した。そのシュートはバーを越えたが、際どい場面は作っていた。

 ただし、攻撃は単発的だった。

 久保がサイドに張って、シンプルに縦へ突破を仕掛けたほうが得点の匂いがした。クロスのキックが合わなかったが、サウジアラビアは後手に回っていた。それを徹底したら、こじ開けることはできただろう。

「僕がサイドに張りすぎないようにしていたんですが。結果として、自分がサイドに張っていたほうが、チャンスはできていました。後半は、前半以上に(中が)ごちゃごちゃとしてしまって」

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