サッカー日本代表、本当に楽しみなのはこれから W杯8強へ最終予選において問われる真価 (2ページ目)
ここまでの最終予選7試合、日本は先発メンバーをほぼ固定して戦ってきた。ケガ人が出たことで起きた少しの入れ替えを除けば、ほとんど不動の顔ぶれである。
もちろん、メンバーを固定して戦うことのメリットはあるだろう。チーム戦術の練度は高まるだろうし、大崩れする心配もない。確実にワールドカップ行きを決めるためには、手堅く戦う必要もあったのかもしれない。
だがその一方で、メンバーを固定してしまえば、ひとたびケガなどの不測の事態が起きたとき、選手の入れ替えによる戦力ダウンが避けられない。
まして来年のワールドカップ(※)でベスト8に進出しようと思えば、グループリーグ3試合を戦ったあと、決勝トーナメントで2試合を勝ち上がらなければならない。いわんや、本気で優勝しようというなら、さらに3試合を戦わなければならないのだ。それも、わずか1カ月ほどの間に、である。
※出場32カ国だった前回大会までとは異なり、出場国は48に増加。4カ国ずつ12グループに分かれてグループステージを実施。その後、各グループ上位2カ国と各グループ3位の成績上位8カ国、計32カ国が決勝トーナメントに進出して覇権を争う。
それを同じメンバーで戦い続けることなど不可能と言ってよく、スペイン、イングランド、フランスなど、世界のトップレベルと比べれば、個の能力で劣る日本は、選手層を厚くする(控えメンバーも含めた平均値を上げる)ことが不可欠であるはずだ。
にもかかわらず、である。
日本が最終予選で盤石の強さや横綱相撲を見せたのは確かでも、それはあくまでアジア限定の出来事。ワールドカップでも同じメンバーで戦い続けることは、むしろベスト8進出を遠ざける戦い方だとさえ言ってもいい。
ここまでの最終予選において、森保一監督は「できるだけメンバーを代えずに、前の試合で経験したことを積み上げて次の試合に生かせるように」と、ケガ人を除けば、ほぼメンバーを入れ替えてこなかった。
出場が決まったバーレーン戦後には、最終予選を通じて「チーム一丸で戦った」ことを強調し、「スタメンがレギュラーというとらえ方をされるかもしれないが、我々の考え方は全員レギュラー」とも語っている。
だが、実際に試合に出ると出ないとでは大違い。事実、バーレーン戦で初めて3バックを組んだ瀬古歩夢、板倉滉、伊藤洋輝のコンビネーションは、決して良好とは言えないものだった。ワールドカップ本番でこんなことが起きないためにも、事前の準備が必要なのだ。
幸いにして、サウジアラビアやオーストラリアなど、最終予選で同組となった他の5カ国がつぶし合いをしてくれたおかげで、日本は3試合も残してワールドカップ出場を決めることができた。これまでの試合では、石橋を叩いて渡る必要があったとしても、ここから先はさまざまなテストができるはずである。
日本がアジアでは格の違いを見せつけ、あっけなくワールドカップ出場を決めてしまった感のある最終予選だが、本当の楽しみはここからだ。
森保監督の手綱さばきや、いかに。
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