「サッカー日本代表を久保建英が救った」でいいのか ワールドカップ出場決定も森保一監督の「惨劇に近い采配」に不安 (2ページ目)
【傑出している鎌田大地との関係】
チームの歯車がまったく噛み合わない前半から、久保だけは別次元にいたと言える。7分、堂安律から上田綺世にくさびが打ち込まれ、右サイドに開いた久保が受けるとドリブルで運ぶ。クロスはブロックされたが、こぼれを遠藤航が拾い、久保はすかさずポジションを取ってスルーパスを呼び込んでいる。シュートはギリギリでブロックされたが、一連の攻撃を稼働させていた。
遠藤航のゴールはハンドで取り消されたが、セットプレーのキッカーとしても敵を脅かしている。また、フリックで味方を生かし、攻撃を活性化。そして自陣に下がってひとり、ふたりとドリブルで外し、三笘薫につないでチャンスに広げた。攻撃の筋道を巧みに見つけ、そこでのプレー精度も高かった。
それでもチームとしては不調で60分過ぎまでスコアレスだったが、63分、鎌田を投入。鎌田は久保と近い距離でプレーし、単純に攻撃を有効化した。
「僕たちも『一緒にプレーできたらいいね』という話はしていました。そのタイミングはだいぶ遅くなりましたが。彼(久保)はいい選手で、感覚的にも合うことが多いので、今日はいい関係性を見せられたかなと思います」
試合後の鎌田の証言だが、ふたりの関係性は傑出していた。単なる技術、スピード、パワーではない。間合いに通じるものがあると言うのか。スペースとタイミングとボールを掛け合わせたディテールで、同じ世界を共有できている。決勝点のシーンも、それぞれが走り込むスペース、パスのタイミングや角度などが抜群だった。
逆説すれば、ふたりを一緒にピッチに最初から立たせられない采配とは何なのか。バーレーンは好チームだったが、後半が始まると疲れが見え始め、交代するたびにパワーダウンし、世界的に見れば非力なチームであることは明らかだった。苦戦の理由は、森保ジャパンが選手起用やフォーメーションやプレーモデルで墓穴を掘っていたからに過ぎない。自らが好き好んで苦しい戦いをしていた。
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