谷口彰悟がオーストラリア戦のオウンゴールを語る「失点直後は、その重大さ、その責任に襲われた」 (4ページ目)
【これ以上、ゲームを壊しちゃいけない】
だから、前半を0−0で終えて後半が始まった時も、ここからどう相手をじわじわと揺さぶり、崩していこうかと思っていた。
そんな矢先だった。自分がオウンゴールをしてしまったのは......。
失点した瞬間は、メンタルに大きく響いた。じわじわと、事の重大さが、自分に襲いかかってきて、正直、何も考えられなかった。
頭のなかを渦巻いていたのは、自分のオウンゴールによって、いろいろなものを崩してしまったことだ。ポジティブかつアグレッシブな守備をしてくれていたチームメイトのがんばりを、この失点によって無にしてしまった。また、相手に先制点を許したことで、ゲームプランを崩してしまったとも思った。
ワールドカップ最終予選3試合で3連勝し、無失点を続けてきたなかで、ホームに5万8000人を超える観客が来てくれている。そのファン・サポーターに勝つ姿を見せたかったのに、自分がチームを窮地に立たせてしまった。
失点直後は、その重大さ、その責任に襲われた。
ただ同時に、ここで試合に負けるような事態に陥れば、チームの勢いも変わってくる。まずは追いつかなければいけない。そう考え、自分自身に言い聞かせた。
「もう、これ以上、崩れるな」
「もう、これ以上、ゲームを壊しちゃいけない」
オウンゴールのショックによって、自分のプレーを見失い、さらにミスを重ねてしまえば、もっと迷惑をかけることになる。それだけは絶対にしてはいけないと言い聞かせた。
オウンゴールをした動揺がまったくなかったと言ったら嘘になる。それでも、もう一度、気持ちを立て直して試合に集中した。
58分のオウンゴールについて言及すると、相手の右サイドからのクロスに対して、戻りながら対応した僕は、右足を振ると、ボールがゴールへと吸い込まれていった。
DFとして、戻りながらのクリアは今まで何度も経験している。そのすべてを右足ではなく左足でクリアしていたかといえば、右足でクリアして防げたこともある。自分自身がああいった技術的なクリアミスをすることは想定していなかったし、右足に当てておけばクリアできるという自信もあった。
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