サッカー日本代表の新オプション・三笘薫&中村敬斗がオーストラリアの守備に風穴を空けた (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

【フランスで過ごす日常で培った自信】

「練習でもほとんどやっていない」

 三笘が言うように、ふたりのコンビは即席だった。にもかかわらずドリブルを持ち味とするふたりの連係は、この日の日本の最大の武器となった。

 とりわけ秀逸だったのは、やはり中村だ。ボールを持てば躊躇(ちゅうちょ)なく仕掛け、サイドの深い位置までえぐっていく。抜けないと判断すればプレーを作り直す三笘とは異なり、中村は迷いなく縦へのプレーを選択し続けた。

 その思いきりのよさが、難攻不落に見えたオーストラリアの守備ブロックに風穴を開けることになったのだ。そして76分、彼の突破が日本の窮地を救うこととなった。

「負けている状態で入ったので、ゴールに向かってプレーしようと意識していました」

 そう振り返る中村は、6月の2次予選でも縦への意識を何よりも強調していた。

「ウイングである以上、シュートを決めることももちろん必要ですけど、やっぱり縦に突破して、クロスというのは絶対に必要だと思っていました。それがアジアカップではうまく出せなかったという思いが自分のなかにあったので、チームに帰ってからの半年間、それを意識的に取り組んできました」

 その意識は、レベルが上がった今回の試合でも徹底されていたようだった。ゴールシーンだけではなく、その後も中村は二度、三度と縦へと仕掛け、あわや決勝ゴールという場面を作り出している。迷いなきプレーの背景には、フランスで過ごす日常で培った自信があるからだろう。

「トップスピードの状態でクロスを中に入れていくのは、身体能力の高い選手が多くいるフランスリーグでやっていること。日常的に個の能力が高いレベルでやっているので、それが自分のなかで成長している理由かなって思います」

 初めて同じピッチに立った三笘との連係にも手応えを掴んでいるようだった。

「自分がサイドに張っている時に、フリーにしてくるような動きをしてくれた。自分がいい形でボール受けられたのは、中で三笘選手がうまくボール引き出してくれたおかげです」

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