北川ひかるはパリオリンピックに「戦友」と挑む どん底で心の支えになった長谷川唯との連係 (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text&photo by Hayakusa Noriko

「(宮澤と)初めてやったときは、相手チームがこちらのサイドでコンパクトに動いていたこともあって、ひなたとふたりで崩すのがなかなか難しかった。それで、自分が一個飛ばしてミナさんに当てて、違った展開ができたパターンもあったんですけど......。

 ですからその後、ひなたと後ろの南萌華(ローマ)とも一緒に試合の映像を見て、いろいろと話をしました。3バックの左からのパスをどう受けるか。(宮澤との)ふたりの関係性はもちろんなんですけど、他の人も含めてどう連動していくか。

 そうしたことができた次の試合では、自分が抜け出せたり、ひなたがターンして仕掛けていけたりする場面があった。立ち位置の感覚を合わせていくのと、ひなたの抜け出しに際して、自分がパスを出すのか、他の人が出すのか、その辺りをもう少しうまくやれるようにしたいです」

 いよいよオリンピックまで秒読み段階に入った。7月25日(日本時間7月26日)、初戦のスペイン戦までの時間は限られているが、好調な北川には自信がみなぎっている。"世界"との真剣勝負を大いに楽しみにしている。

「オリンピックは、自分にとって夢の舞台。とにかく、笑顔でやりきりたいんです。初めての大舞台なんですけど、今自分のなかで想像できるのは、やっぱりいいプレーをしている自分の姿、勝利している姿を含めて喜んでいる姿、笑顔で終わっている姿が浮かぶんです。そういういいイメージが湧いています」

 彼女が言うと、実現しそうな気がしてくる。まずはポジティブなマインドであることが勝利への第一歩。なんと心強いイメージだろう。それでこそ、北川ひかる、だ。

「ここまできたら、やるしかない!って感じなんですけどね(笑)。今の調子でもっとギアを上げて、自分らしくプレーできたらいいかなって思います。

 個人的には左サイドを任されているので、当然左サイドの活性化はやっていきたい。起点になるプレーもですけど、ラストパス、逆からのクロスに対しては必ずシュートコースに入っていくことは絶対! その結果として、ゴールを決められたら最高ですし、そういうプレーでチームの勝利に貢献したいです!」

(おわり)

どん底にあった北川ひかる(左)にとって、大きな支えとなった長谷川唯(右)どん底にあった北川ひかる(左)にとって、大きな支えとなった長谷川唯(右)この記事に関連する写真を見る北川ひかる(きたがわ・ひかる)
1997年5月10日生まれ。石川県出身。小学校卒業と同時に、JFAアカデミー福島に入校。2014年U-17女子W杯では日本の優勝に貢献する。2015年、特別指定選手として浦和レッズレディース入り。翌年、正式に入団。2018年、アルビレックス新潟レディースに完全移籍。2023年にはINAC神戸レオネッサに移籍し、主力として活躍。翌2024年、なでしこジャパンへ復帰。パリ五輪の代表メンバーとなり、大舞台での飛躍が期待される。

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