北川ひかるはパリオリンピックに「戦友」と挑む どん底で心の支えになった長谷川唯との連係 (2ページ目)
「やりやすさ」と言えば、中盤で攻守において大きな役割を担っている長谷川唯(マンチェスター・シティ)もいる。2014年のU-17女子W杯を制したときのチームメイトであり、なでしこジャパンに初招集されたときも、一緒に名を連ねていた。
そして今、なでしこジャパンのピッチ上では北川がダイレクトパスで長谷川を使う場面がしばしば見られる。その北川から供給されるパスには、長谷川も「ひかるからのパスを、自分も含めた前の選手は生かさないといけない」と信頼を寄せている。
ふたりの信頼関係は、傍から見ていても十分に伝わってくる。トレーニング後のクールダウンの際などでも、わずかなことで笑い転げているふたりの姿は本当にほほえましい。
「唯さんとはすごくやりやすくて、誤解を恐れずに言えば、近くでプレーすればするほど、"遊び"って感じるくらい楽しさに変わる感覚がある。だから、できるだけ近くでプレーできれば、フィニッシュまでいける面白さがあります。
唯さんは(学年が)ひとつ上なんですけど、めちゃくちゃ信頼してるし、尊敬してます。関係性的には、サッカー以外のところでも可愛がってもらっているんで(笑)。自分のなかで、唯さんは偉大です。
一緒にやってきた期間はありますけど、やっぱりどんどん上に上がっていく姿をずっと見てきて、すごいなって思う。サッカーに対して熱い人だし、でもなんだろう......(自分たちふたりは)確かに変な関係ですね(笑)」
ただの旧知の仲、ということではない。おそらく北川が最もつらかったであろう時期、代表から遠ざかっている期間に支えのひとつになったのは、長谷川の存在だった。だからこそ、一緒につかみたいものがある。
「(自分が代表から)落ちたときっていうか、選ばれていないとき......唯さんは『がんばれよ』って言うんじゃなくて、『(代表に)早く戻ってこい!』って感じで連絡をくれていたんです。それは、デカかったですね。なんで、そんなに言ってくれるんだろう?って思うときもありました。だから今、一緒にやれているのはうれしいんです!」
そう遠くはない未来に、ふたりの鮮やかなコンビネーションによるゴールが量産されていく景色が想像できる。
ただその前に、北川には左サイドでの連係を、もう一段階引き上げなければいけない。タイプは異なれど、同じ"スピード"を売りにする前線の宮澤ひなた(マンチェスター・ユナイテッド)との共存だ。
初めて組んだニュージーランド戦(初戦)では、北川は生きたが、その道筋を作った宮澤の存在は消えていた。ここが活発になれば、なでしこジャパンの得点チャンスは倍増するはずだ。
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