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日本代表はなぜシリア戦後半、4バックに戻したのか 大勝したからテスト成功とは限らない (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【なぜ布陣をいじろうとするのか】

 森保監督は後半開始と同時に活躍の中村を下げ、伊藤を投入。布陣を4-3-3に変更した。こちらは誰が見ても攻撃的サッカーだ。高い位置から網が掛かりやすい布陣である。世の中の流れに準じたスタイルに回帰したわけだが、喜ぶことはできなかった。

 消化試合である。確かに何かを試すにはまたとない機会である。だが、相手が弱いので、テストが成功だったのか不成功だったのかは判然としない。試合に勝ったから、得点が多く決まったから布陣のテストは成功したと考えるのは、楽観的かつ短絡的である。

 こうした弱者相手の消化試合を有効に使うなら、布陣のテストより、まず新顔のテストだろう。本番が2年後であることを考えると、いまは畑を耕すことのほうが重要だ。2年は長い。9月から始まるW杯アジア最終予選だが、出場枠は8.5もある。前にも述べたが、実力と枠数の関係で、日本は世界で最も緩い環境に身を置いている。大騒ぎせず、もっと客観的な視点に立ち、じっくり構える必要性を感じる。

 布陣はむしろ変えすぎだ。いまのメンバーならば、4-2-3-1と4-3-3は普通にできることはわかっている。そんなに3バックを試したいのなら、後半も4-3-3に戻さずに徹底的にやればいい。

 だがその前に語るべきは、森保監督がやりたいサッカーだろう。なぜ布陣を日替わりメニューのようにいじろうとするのか。筆者にはまるで理解できない。

「臨機応変」。森保監督が発したワードから紐解くと、その4文字熟語に辿り着く。だが、世界のサッカーを眺めても、過去を含め、4-2-3-1、4-3-3、3-4-3をコロコロ変えて試合に臨む監督は見たことがない。何がしたいのか。どんなサッカーがしたいのか。布陣は本質論に基づいて決定されるものだ。

 その本質が森保サッカーには見えない。哲学的でない。その哲学がもし「臨機応変」ならば、自分の好み、志向は存在しないということか。世の中には攻撃的サッカーと守備的サッカーがある。前で守るか、後ろで守るか。それらを使い分けるという考え方もあるが、ならばどうしたときに使い分けるのか、そこを説明しなければ、感覚的な話になる。臨機応変だけでは言葉足らず、説明不足もいいところだ。

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