谷口彰悟が先輩・小林悠を「かなり面倒くさい」と言った理由 キャプテンとして「饒舌じゃない。でも魂が込められていた」 (3ページ目)

  • text by Harada Daisuke

【中村憲剛とは違ったアプローチで牽引】

 また、悠さんにはCBとして鍛えられただけでなく、キャプテンシーも学んだ。2020年にフロンターレのキャプテンを任された時、思い浮かんだのは前キャプテンである悠さんのリーダーシップだった。

 苦しい時も、うまくいかない時も、常にチームの先頭に立って引っ張っていく姿は自分も大いに学んだし、そうあろうと行動した。

 キャプテンシーについては悠さんのほかに、中村憲剛さんからも数えきれないほどの学びを得たが、憲剛さんの考え方やチームに対するアプローチは、自分も似ていると言ったらおこがましいが、共感・共通するところが多々あった。一方、悠さんは自分とは異なるリーダーシップでチームを導ける人だったからこそ、学ぶところは多かった。

 ストライカーというポジションも手伝ってか、悠さんはキャプテンとしても勝利に対して貪欲で、チームメイトに対してもいつもストレートに気持ちをぶつけていた。鬼木達監督もそうだったが、その気持ちや発言に嘘がないため、周りを巻き込める、引き込む求心力があった。

 後輩である僕が言ったら怒られるかもしれないが、悠さんは決してボキャブラリーが豊富なわけでもなければ、饒舌なわけでもない。もちろん、伝える内容や言葉の伝え方は考えて発信していたとは思うが、気持ちをストレートに表した言葉には、いつも魂が込められていて、こちらに思いが伝わる熱量があった。

 悠さんのそのリーダーシップに僕は学び、刺激を受け、自分がキャプテンを任されてからも、取りつくろった言葉で話すのではなく、その時、心から出てきた言葉を大切にして、考えや気持ち、思いを伝えるようになった。

 191得点をマークした嘉人さんがJ1歴代最多得点者ならば、悠さんはサンフレッチェ広島戦(J1第10節/2024年4月28日)でゴールを決めて、J1通算140得点で歴代7位に浮上したと聞いた。それにより、あのカズさん(三浦知良)の記録を越えたように、これからもギラギラとした目でゴールを決め続け、記録を更新してくれることを期待せずにはいられない。

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