日本代表の「攻撃的3バック」は「改悪」 ミャンマーだからボロが出なかった (2ページ目)
【オリジナル版の3-4-3】
1試合のなかで、そこまで方針転換を求められる試合はどれほどあるか。4-2-3-1、4-3-3でうまくいっていたものを、3-4-2-1にしたばっかりに敗れたとなれば、監督の采配ミスとなる。監督にとって本来リスクが多い選択になる。
なぜ、そんな手に打って出るのか。本質的に後ろで守る守備的サッカーが好きだからなのか、3バックが好きだからなのか。それならなぜ、ほかの3バックではダメなのか。
森保監督は今回の代表メンバー発表会見の席上で、3-4-2-1ではなく3-4-3と称していた。しかし、3-4-3と言われる布陣には、3-4-2-1とはコンセプトが真逆な、攻撃的と言われる3-4-3もある。ミャンマー戦、シリア戦は事実上の消化試合である。試すなら、攻撃的な3バックであるべきだ。日本の現状を踏まえれば、中盤フラット型よりダイヤモンド型の3-4-3だと、ミャンマー戦のプレビュー原稿で筆者は述べた。
ミャンマー戦。パッと見、3バックだった。その中身に目を凝らせば、時間の経過とともに全貌は明らかになっていった。中盤フラット型でもダイヤモンド型でもない、それは完全なオリジナル版だった。
からくりは至ってシンプルで、従来の4-2-3-1、4-3-3に手を加えたものにすぎなかった。拍子抜けしただけならまだよかった。ほどなくすると期待は落胆に変わった。典型的な改悪だった。
伊藤洋輝、谷口彰悟、橋岡大樹、菅原由勢。この4人が最終ラインを形成する時間もあったが、右の菅原が高めの位置を取る時間が長く、それが3バックに見えた理由だ。
3と4の可変式である。3バックといえば、これまでの森保ジャパンの場合は3-4-2-1で、それは5バックと同義語だった。「3バック=5バック=守備的」。日本では3バックは守備的サッカーの代名詞だった。だが、この日の3バックは5バックとイコールで結ばれなかった。従来の概念を覆す新しいものに見えた。
問題は菅原の前で構えた堂安律のポジションだった。右のウイングと言うより1トップ、小川航基の斜め下で構えるシャドー的な選手だった。
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