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日本代表の「攻撃的3バック」は「改悪」 ミャンマーだからボロが出なかった (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【右サイドで後手を踏むことは確実】

 右のサイドアタッカーはその結果、菅原ひとりになった。右と左とはつまり非対称な関係に陥った。伊藤はセンターバック(CB)というより、半ばサイドバック(SB)的な位置づけで、その前に鎌田大地、さらには大外にウイング然と中村敬斗が構えた。

 4-3-3に置き換えれば、アンカーが守田英正、インサイドハーフが鎌田と旗手怜央。堂安が右ウイングと言うより内寄りに構える、4-3-3を時計と反対回りにグイとひねり、3バック気味になった布陣。これがこの日の実験の全貌になる。

 左ウイングの中村は大活躍だった。三笘薫に追いつき追い越せとばかり、縦勝負を再三にわたり敢行。レベルを上げていることが明らかになった。しかし、中村がウイングプレーを決めるほど、堂安のプレイが中途半端となり、それが顕著になった。右からのサイド攻撃はあるときまでゼロに等しかった。

 この左右非対称な4-3-3。FIFAランク163位のミャンマーだからボロが出なかった作戦となる。左右非対称は、相手ボールに転じた瞬間、穴になる。攻守が切り替わった瞬間、堂安は中央付近にいることが多いので、相手の左SBにプレッシャーはかかりにくくなる。日本が右サイドで後手を踏むことは確実になる。

 菅原はひとりで相手のサイドアタッカーふたりを見ることになる。サイドにおける数的不利は、プレッシングサッカーにおいてはかなり致命的なエラーになる。サイドを制すものは試合を制す、なのだ。

 想起したのは、4-2-3-1の3の右を務めた中村俊輔が、そのポジションにいる時間が20%にも満たなかった岡田ジャパンであり、香川真司が4-2-3-1の3の左にいることが20%にも満たなかったブラジルW杯時のザックジャパンである。さらに言うならば、先のアジアカップのイラク戦で、4-2-3-1の3の左に、ウインガーとしての適性がない南野拓実を置いた森保采配も、そこに入れることができる。

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