谷口彰悟が感じた残念な現実 カタール2年目は「細部へのこだわりが最後に大きな差に」 (2ページ目)

  • text by Harada Daisuke

【まだまだムラがあったと言わざるを得ない】

 監督をはじめとするコーチングスタッフや主軸を担う選手の顔ぶれが変わっただけでなく、フロントスタッフも刷新された。実力のある人材が揃って、各ポストに適材適所で起用されれば、それなりの結果を示せる一例と言えるだろう。

 チームには規律も生まれ、戦力も様変わりしただけに、9位から2位にジャンプアップした結果を端的に成長と捉えるかどうかについては、個人的に疑問符がつく。それだけ今季のチームは個の能力が高まっていたし、むしろタイトルを獲らなければ成長と言えないのではないかとすら思っていたからだ。

 周りの雰囲気を見ても、アル・ラーヤンは強豪として知られるチームであり、むしろあるべき姿、争うべき場所に戻ってきたといった感じだろう。

 ただ、チーム全体に目を向けると、やはり、まだまだムラがあったと言わざるを得ない。

 調子がいい時期や試合では、チームとして勢いに乗れるが、ひとたび気が抜けてしまうと、チームとしても気持ちが緩んでしまう危うさがあった。

 1年間を戦っていくリーグ戦においてチームの状態は、いい時期もあれば、必ず悪い時期もある。タイトルを獲るには、その悪い時期にどれだけ悪いなりの戦い方ができるか。また、どれだけ踏みとどまれるかが、のちのちの結果に大きく響いてくることをあらためて実感したシーズンだった。

 たとえば、3月13日にウム・サラルに2-2で引き分けた試合も、そのひとつ。続く3月18日にはアル・ガラファと戦い、0-3で敗れている。

 アル・ガラファはACL出場権を争った相手で、シンプルに強いチームではあった。だが、その試合を終えてインターナショナルマッチウィークに突入することもあり、選手たちの意識は目の前の試合よりも、まとまって与えられたホリデーに気持ちが向いてしまっているような気がしてならなかった。

 そうした気の緩みは隙になり、プレーに表われてしまう。また、そうした雰囲気は、チームのクセや特徴にもなってしまいがちなため、なくしていかなければならない課題だろう。

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