パリ五輪グループDは「地獄の組」 対戦国パラグアイ、マリ、イスラエルは「日本戦がカギを握る」と警戒 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【奇遇に湧くパラグアイ】

 一方、パラグアイの監督カルロス・ハラ・サギエルはこう述べている。

「日本がアジアで優勝したことで、我々のグループは大会で最もハードなものとなってしまった。なかでも一番重要な試合は、南米チャンピオン対アジア王者、つまり初戦のパラグアイ対日本だ。もし金メダルがほしいのであれば、多くの強敵に立ち向かわなければならないが、日本戦は最初の大きな試練となるだろう。私はアジアカップでの日本の試合を見たが、日本のプレーはとてもスピーディーで、少なくとも2、3人の非常に優秀な選手がいる。だが、パラグアイにもいい選手はいるし、我々は集中している。このグループ初戦は非常に大事なものとなるだろう」

 パラグアイのメディアも久しぶりのオリンピックに注目している。「ABCテレビ」の記者カルロス・ハラ・グスマンは言う。

「パラグアイの選手たちは今、その歴史を手に握っている。なぜなら20年を経て、我々はオリンピックに戻ってきたからだ。パラグアイは2004年のアテネ大会で唯一のメダルを勝ち取った。アルゼンチンに負けての銀メダルだった。ブラジルやウルグアイという南米の強豪を破ってパリ行きの切符を手にできたことは、グループリーグを戦う大きなモチベーションとなるだろう。

 パラグアイはマリには絶対に勝たなければならない。しかし我々はバランスの取れた、プロフェッショナルなチームであり、きっと勝てるはずだ。イスラエル戦もそれほど問題はないだろう。このグループでの本当の敵は日本だ。日本は我々よりも規律があり、間違いなく勝ちにくる。私の意見では、パラグアイがこの組で優位に立ち勝ち進みたいのであれば、日本に勝つことに集中しなければならない」

 ちなみにサギエル監督は、2004年アテネ五輪当時の監督でもある。昨年10月に監督に就任した彼は、20年ぶりに再びチームをオリンピックに導き"奇跡の人"とも呼ばれている。そしてそこには日本にまつわる因縁がある。パラグアイサッカー協会のロバート・ハリソンはそれを語る。

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